師走に入り、街も一気に年の瀬のムードですね。
皆さん、新しい年を迎える準備はできていますか?
お正月といえば初詣ですよね。
初詣といえばお賽銭。
1月1日から3日の3ケ日ではたくさんの方が初詣に行くのではないでしょうか。
2017年の参拝者数第1位は東京の明治神宮です。
3ケ日で約320万人の参拝客が初詣に訪れたそう。
3ケ日だけでも相当な金額のお金(お賽銭)が集まる計算になります。
では、その集まったお賽銭は一体どのようなものに生まれ変わっているのか、気になりませんか?
どこかに寄付されたりしているのでしょうか?
今回は、お賽銭にフォーカスします。
そもそもお賽銭って何?
既に文化に浸透している’’お賽銭’’。
日本に限らず、海外でも神聖な場所にはコインが投げ込まれていることも多いです。
以前筆者がイタリアのトレビの泉を訪れた際も、たくさんの人が泉にコインを投げ入れていました。
ちなみにこの泉にコインを投げれば願いが叶うとされています。
「Travel + Leisure」によると、1週間で15,000ドル(約150万円)、年間にすると1,000,000ドル(約1億円)ものお金が集まるそうです。
この集まったお金は、慈善活動団体に寄付されるそうです。
日本でも、神社などに出向いた際は、まず賽銭箱にお賽銭を入れて手を合わせお願い事をするのが当たり前に行われていますよね。
お金を入れる理由って一体何なのでしょうか?
筆者が考えるに、お願いを聞いてもらうためにお賽銭を入れるのでは、と思っていましたが、本当は違うみたいです。
お賽銭は、「願い賃」ではなく「前回のお礼」
お賽銭は、神様にお願いを聞いてもらうための「願い賃」ではなく、前回の願いを叶てくれたお礼という意味合いのほうが正しいそうです。
国語辞典でも、お賽銭とは「神から福を受けたのに感謝して祭る」の意味として紹介されています。
そのため、お願い事が叶ったら、必ず後日お礼にをしに行きましょう。
ということは、お願い事が叶わなかったらお賽銭は払わなくても良いのか?と思ってしまいますね。
お賽銭の歴史
では、お賽銭という文化は昔からあったのでしょうか?
今はお賽銭といえば貨幣ですが、以前はお米や雑穀を神様へのお礼として奉納していたそうです。
まだ貨幣が登場していなかった時代は、物々交換で成り立っていた時代だからという理由もあります。
しかし、貨幣が登場してからは、お米や穀物よりも貨幣の方が増え、しかもそのまま神前に置かれたので自然的に貨幣を受ける賽銭箱が置かれるようになったそうです。
お賽銭の縁起のいい数字とは?
皆さんは、参拝する時などは、どのぐらいのお金を準備していますか?
よく聞くのは、良いご縁がありますようにという願いを込めて5円、絶対に願いを叶えたいから1000円!等々、人それぞれですよね。
しかし、このお賽銭の金額にも、金額ごとに意味があります。
金額が多ければそれだけご利益も多いということなのでしょうか?
しかし、お賽銭には金額の決まりはありません。
一番大切なのは、神様へのお祈りの気持ちです。
参考程度に、金額ごとの値段を見てみましょう。
10円(5円玉2枚) = 重ね重ねご縁がありますように
15円(5円玉3枚)=十分ご縁がありますように
20円(5円玉4枚) =よいご縁がありますように
25円(5円玉5枚) =二重にご縁がありますように
40円(5円玉8枚) = 末広がりにご縁がありますように
50円(5円玉10枚)=五重のご縁がありますように
55円 (5円玉11枚) = いつでもご縁がありますように
105円 (5円玉21枚)=十分にご縁がありますように
125円(5円玉25枚)=十二分にご縁がありますように
485円 (5円玉97枚) = 四方八方からご縁がありますように
ほかにも、21円や31円など、割り切れない数字のお賽銭は、夫婦円満や恋愛継続のお願い をするときに良いといわれています。
また、1万円は「万円」をひっくり返して「円万=円満」ということで万事円満に収まると 考えられています。
さすがに、5円玉97枚を養銭箱へ入れている人を見かけたらびっくりしてしまいそうです が・・・
これは、すべて5円玉でなければいけないということはないそうです。
複数の硬貨を組み合わせて、良い語呂合わせの金額にするといいようですよ。
しかし、お賽銭に使ってはいけない硬貨もあります。
それは、10円玉や500円玉を使ってはいけないそうです。
10円玉=10=とお=とおえん=遠緑=縁を遠ざけるという意味になる。
500円玉 =これ以上大きな硬質(効果)がないという意味になる。
そして、65円、75円、85円のお賽銭も避けた方がいいようです。
65円=ろくなご縁がない
75円=なんのご縁もない
85円=やっぱりご縁がない
信じるか信じないかは、あなた次第ですが…。
参考にしてみてください。
お賽銭の使い道
お賽銭の歴史や縁起がいい数字について知ることができましたね。
では、その集まったお賽銭は一体どんなものに使われているのでしょうか。
最終的にどこに行くの?というと、簡潔に申しますと、神社の収入になります。
お賽銭は全額が非課税となっていますので、純粋に集まった金額が神社仏閣のものとなります。
しかし、その集まったお賽銭の使い道は様々なようです。
①建造物の修繕費・維持費
立派な建造物に鳥居。
神社にはたくさんの建築物がありますよね。
それは全て人の手によって作られており、繊細な造りのものも多いですよね。
また、鳥居などは外気に晒されていいるので、劣化も早いです。
また、鈴や賽銭箱などは毎日人の手に触れるため、痛みも出てきます。
参拝者などの利用者に気持ちよく使っていただくためにも、施設を維持していく必要があります。
定期的なメンテナンス(色塗り、欠陥部分の修繕、増築)など様々あります。
また、神社などは特殊な造りのため、私たち一般人では手を加えることが難しいことも多く、専門の業者さんや職人さんなどにやっていただく必要があります。
費用的にも決して安くはない金額のため、参拝者から得たお賽銭が使用されています。
参拝者のみなさまが気持ちよく利用できるよう施設も維持されているのですね。
②巫女さんや警備員の給料
年末年始はもちろん、七五三や季節のイベント時などは参拝者が増えるため、巫女さんや警備員など人員を増やさなければなりません。
お守りなどの販売、駐車場の整備、賽銭箱の警備、清掃係等々、どうしても人が必要になってきます。
当然、人を雇うからにはお給料が発生するため、お金が必要になってきます。
③神様へのお供え物
食べ物やお花など、参拝者からのお供え物もありますが、神社もまた、神様を祭るために奉納品(日頃の感謝やまごころを神様に伝え、自分自身の日頃の行いを納める意味で、神様に納められるもの)を購入することもしばしば。
そのため、集まったお賽銭が活用されます。
④広告費
皆さんはいつも同じ神社に参拝に行かれますか?
神社としても、定期的にそして継続的に参拝してくれる方がいないことには神社を維持していくのが厳しくなります。
参拝者を増やすためにも、行事の宣伝をしなければなりません。
チラシやポスターなどを制作し、宣伝する必要があるためお金が必要になります。
⑤お守りやお札の製作費
神社に行くと、お守りやお札などの縁起物を購入される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お正月などはたくさんの巫女さんたちが販売なさっていますよね。
この縁起物と呼ばれるものはひとつひとつ手作りで作られることが多いです。
そのため、専門の業者などにお願いすることになります。
それにはもちろん製作費がかかりますので、お賽銭で集まったお金が活用されます。
⑥衣服代
神社にいらっしゃる神職の方々は、様々なお召し物を着用なさっていますよね。
また先ほども申し上げように、行事などで人員が増える際はその分の衣服が必要になります。
衣服も大変繊細なものですし、決してお安くはないでしょう。
⑦若い方に親しんでもらうため
時代の流れとともに、若者の神社離れが進んでいるんだとか。
全国各地でカウントダウンイベントなどが開催されるようになり、初詣に出向かない人も増えています。
そのため、SNS映えする神社仏閣などが近年増加しているんだとか。
縁結びにご利益があるハートをモチーフにした神社や、インスタ映えするユニークな建物やかわいいおみくじなど、若い方でも気軽に足を運ぶことができる神社が最近話題です。
”神社”や”お寺”となると、なんとなくお堅いイメージですが、そのお堅いイメージをも払拭するような場所になっています。
・埼玉県川越市/川越氷川神社
・京都府京都市/河合神社
・京都府京都市/八坂庚申堂
・京都府綴喜郡/正寿院
・福岡県筑後市/恋木神社
上記はすべて筆者が訪れたことがあるSNS映え間違いない場所です。
若い方が多く訪れています。
ぜひ足を運んでみてください!
神社の法人格は?
神社にも、法人格というものがあります。
神社やお寺などは、宗教法人という法人格が与えられています。
宗教法人とは
宗教法人は,教義をひろめ,儀式行事を行い,及び信者を教化育成することを主たる目的とする団体,つまり「宗教団体」が都道府県知事若しくは文部科学大臣の認証を経て法人格を取得したものです。
宗教法人には,神社,寺院,教会などのように礼拝の施設を備える「単位宗教法人」と,宗派,教派,教団のように神社,寺院,教会などを傘下に持つ「包括宗教法人」があります。
単位宗教法人のうち包括宗教法人の傘下にある宗教法人を「被包括宗教法人」,傘下にないものを「単立宗教法人」といいます。
参考:文化庁/宗教法人とは
上記の説明では、神社や寺院などは「単位宗教法人」という法人格が与えられています。
宗教法人法(昭和26年4月3日法律第126号)(民法33条に基づく特別法)にもとづいて、宗教団体に附与されます。
宗教団体に法人格を与える目的を、この法律では、「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他の目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えること」(第1条第1項)と規定しています。
ほとんどの場合、神社や寺院、教会といった宗教施設を持っています。
宗教法人は、公益事業を行うことができ、法人によっては、病院や幼稚園や保育園などの教育施設、鉄道も運営している場合があります。
また、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業をも行うことも可能です。
収益が生じたときは、自己又は関係のある宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければなりません(宗教法人法6条)。
法人税が課せられるのは?
宗教法人は、「宗教法人法」という日本の法律に基づいて、株式会社などの営利企業や非営利団体(NPO法人)とは異なる税金の徴収があります。
宗教法人は、税制上では営利企業に比べて優遇はされているものの、かかる税金がゼロというわけではありません。
宗教法人において、課税と非課税をに分類するポイントはどこにあるのでしょうか。
まず第一に、営利を目的とした法人には、法人税が課せられていますよね。
しかし、営利を目的とせず宗教活動を目的とした宗教法人は非営利の組織に分されるため、法人税は課せられません。
ただし、物品の販売などで利益が発生する事業を行う場合には、宗教法人であっても営利法人と同じように法人税を納めなければいけません。
しかし、その販売する物品や事業の内容によっては、発生した利益を喜捨(寺社や貧乏な人に施し物を、喜んですること。)とみなされ、税が課されない場合もあります。
そのため、喜捨に分類される寄付やお布施、お賽銭などは、課税の対象にはなりませんので、先ほども申し上げたように非課税となります。
課税の対象になる主な事業、そして非課税となる主な事業は、以下のようになります。
●課税対象になる物品や事業
ロウソク/線香/絵葉書/供花/暦/旅館業/駐車場の経営/神社での披露宴など
●非課税となる物品や事業
おみくじ/お札/お守り/お祓い/幼稚園や老人ホームの経営/神社での結婚式(挙式のみ)など
販売する物品の課税と非課税の線引きは、お寺や神社以外でも販売できるかどうかが基準となっています。
宗教法人への課税は一般企業などとの競合を考え、課税の公平性を保つために行うものです。
そのため課税対象になる事業を行っていても、金額を低く設定したり、継続的でなかったりする場合は、競合の可能性が少ないと判断され課税の対象にはならないようです。
難しいですね。
しかし、私たちが行うお賽銭は必ず神社の存続に活かされるということがわかりました。
皆さんは今年の初詣は何をお願いしますか?