大気汚染、森林破壊、水不足…
など、私たちが暮らしている地球は今、たくさんの環境問題を抱えています。
普通に生活している中での何気ない行動が、環境破壊に繋がっているかもしれません。
どんな環境問題があるの?
ひとくくりに環境問題といっても、さまざまな問題がありますよね。
代表的なものだと、ゴミ問題、酸性雨、地球温暖化、オゾン層の破壊、公害問題、砂漠化、森林破壊、海洋汚染、大気汚染、水不足などがあります。
例を挙げるとキリがありません。
自分たちが見えないところで、確実に地球への負担は大きくなっていっているのが現実です。
このまま放っておくわけにはいかないと、平成27年(2015年)に、アメリカ・ニューヨークの国際連合本部で開催された国連サミットで「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。
持続可能な開発目標=Sustainable Development Goalsを略して、SDGsと呼ばれます。
下記が、SDGsのロゴです。
持続可能な開発のための2030アジェンダの特徴
・平成28年(2016年)から平成42年(2030年)までの国際社会共通の目標
・発展途上国/先進国関係なく適応される普遍性がある
・採択を受けて、各国・地域・地球規模でアジェンダの実施のための行動を起こす必要があり、それらの行動のフォローアップ及びレビューが必要
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」の17ゴール
※環境に関することは赤文字にしています。
ゴール1(貧困)
:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
ゴール2(飢餓)
:飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
ゴール3(健康な生活)
:あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
ゴール4(教育)
:全ての人々への包摂的かつ公平な質の高い教育を提供し、生涯教育の機会を促進する
ゴール5(ジェンダー平等)
:ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女子のエンパワーメントを行う
ゴール6(水)
:全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
ゴール7(エネルギー)
:全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な現代的エネルギーへのアクセスを確保する
ゴール8(雇用)
:包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する
ゴール9(インフラ)
:レジリエントなインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの拡大を図る
ゴール10(不平等の是正)
:各国内及び各国間の不平等を是正する
ゴール11(安全な都市)
:包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市及び人間居住を実現する
ゴール12(持続可能な生産・消費)
:持続可能な生産消費形態を確保する
ゴール13(気候変動)
:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
ゴール14(海洋)
:持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続的に利用する
ゴール15 (生態系・森林)
:陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・防止及び生物多様性の損失の阻止を促進する
ゴール16(法の支配等)
:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促進、全ての人々への司法へのアクセス提供及びあらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度の構築を図る
ゴール17 (パートナーシップ)
:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する (以上IGES仮訳)
「169のターゲット」
資料:IGES資料より環境省作成
目指す17のゴールのうち、たくさんのゴールが環境に関連しています。
SDGsの環境との関わり
SDGsの17のゴールを見ると、「ゴール6(水)」、「ゴール12(持続可能な生産・消費)」、「ゴール13(気候変動)」、「ゴール14(海洋)」、「ゴール15(生態系・森林)」等のゴールは、特に環境と関わりが深くなっています。
これは、SDGsの前身の一つであるMDGsには、8つのゴールのうち環境に直接関係するゴールが一つしか含まれなかったことと比較して、環境的側面が増加していることをよく表しています。
また、これにとどまらず、SDGsの特徴の一つであるゴール間の関連から、その他のゴールにも環境との関わりが見られます。
例えば、一見環境との関わりが浅い「ゴール5(ジェンダー平等)」では、ゴールを達成するための手段の一つとして、「女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する」と明記されており、森林、土壌、水、大気、自然資源等、自然によって形成される資本(ストック)である自然資本を利用することが、ゴールの達成に深く関わることを示しています。
また、「ゴール8(雇用)」では、「包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)」が目標であり、そのためには、ターゲット8.4で示されているように「世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る」ことが重要としています。
このように、各ゴールはターゲットを介して環境との結び付きが示され、持続可能な開発の三側面(環境、経済、社会)は一体不可分であるという考えが、ターゲットのレベルでも貫かれています。
環境省としても上記アジェンダの実施に向け、国内外における施策を積極的に展開していくそうです。
SDGsステークホルダーズ・ミーティング
これに伴い環境省は定期的にSDGsステークホルダーズ・ミーティングという、環境側面からのSDGsの実施を推進するために、民間企業をはじめ、さまざまな立場から先行事例を共有して認め合うものとして会合を開いています。
主催は環境省で、共催は公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)で参加費は無料で一般公開されており、SDGsに率先して取り組む企業などの事例を共有し、認め合う場として開催されています。
また、SDGsの概念を社会に浸透させ、実施に向けて機運を高めることも期待されています。
SDGsの達成のためには民間企業が有する技術や資源は不可欠であり、過去の会合では、主として大企業のCSR部から、SDGsの社内浸透や環境報告書での取り上げ方等について事例共有を行ったそう。
会合には、一般社団法人、民間企業、行政など様々な方が参加します。
持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド
環境省は、この持続可能な開発目標(SDGs)に関する取り組みをさらに進展させるために、日本のすべての企業が持続的に発展するためのSDGs活用ガイドを作成しました。
この活用ガイドでは、変化する日本の経済・ビジネス環境の中で企業が置かれている状況と、企業にとってSDGsに取り組む意義について説明した上で、具体的な取組の進め方を示しています。
また、既にSDGsに先駆的に取り組んでいる企業の事例なども紹介されています。
この活用ガイドを利用してSDGsに取り組むことにより、経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得し、持続可能な企業へと発展していくことが企業に期待されています。
ガイドの特徴
この活用ガイドは、SDGsについてこれまで特段の取組を行っていない、あるいはSDGsに関心を持ち何か取組を始めてみようと考えているような、とりわけ職員数や活動の範囲が中小規模の企業・事業者を主な対象とされています。
環境×企業×SDGs
政府や自治体だけでなく、⺠間企業においても取り組む気運が国内外で高まっているSDGs。
環境課題や社会課題の解決を通して儲ける、環境課題や社会課題に配慮していないと儲けられない、そんな時代が来ようとしています。
環境に優しく、持続可能な企業になるために、一体何をすればいいのでしょうか?
これからの企業に必要なこととは?
企業はこれまで、消費者のため、地域社会のため、そして生活環境の維持のために求められる製品やサービスを提供してきました。
しかし、昨今の少子高齢化による人材不⾜や消費者ニーズの多様化等により、売上拡大や事業承継において課題を抱える企業が多いのではないでしょうか。
企業が将来に渡って継続し、より発展していくために必要となるのが、⻑期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開です。
そこで、今、ビジネスの世界では、経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得して持続可能性を追求するためのツールとして、SDGs(持続可能な開発目標)の活用が注目を集めています。
SDGsの普及とともに、市場のニーズ、そして取引先からのニーズとして、SDGs への対応が求められるようになってきています。
実際、投資の条件として、収益だけではなく、SDGs に取り組んでいるかどうかも⾒られる時代になってきているのです。
SDGs の活用によって広がる可能性とは?
①企業イメージの向上
CSR活動などでSDGsへの取り組みをアピールすることで、他社との差別化ができたり投資家や消費者、会社が所在する地域などにも良いイメージを与えます。
また採用の面でも、
・給料面だけでなく、会社への想いや活動に共感してくれる人材が集まる
・採用活動を通して、会社のイメージアップに繋げることが出来る
など、企業にとってプラスの効果をもたらします。
②社会の課題への対応
SDGsには、今私たちが暮らしている社会、地球が抱えている様々な課題が網羅されており、今の社会、地球にはどんなことが必要とされているのかが分かります。
この社会課題への対応は、社会貢献や地域での信頼獲得にもつながります。
③生存戦略になる
取引先のニーズの変化や、インド、ブラジル、メキシコなどの新興国の凄まじい経済発展などにより、企業間の生存競争はますます激しくなっています、
世界的にSDGsに取り組んでいる企業が増えている今、SDGsへの取り組みがビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、持続可能なマネジメントを行うための一つの戦略として活用できます。
④新たな事業機会の創出
SDGsへの取り組みをきっかけに、今まで関わりがなかった地域やNPOなどとも関わりができ、新しい出会いを産む可能性も大きくあります。
同じ目標に向かって伴走できるパートナーを見つけることができるのではないでしょうか。
企業の小さな行動もSDGsに繋がっている
SDGsへの取り組みは、小さな何気ない取り組みでもきちんとつながっています。
例えば、会社のお手洗いなどに「節水」などと書かれた紙が貼られていませんか?
ゴミは分別していますか?
普段何気なく気を付けていることも、ちゃんとSDGsに繋がっています。
グローバルなことや、大きなことをやることだけがSDGs繋がっているわけではありません。
SDGsの17のゴールをよく見て一旦立ち止まって考えてみると、自社の事業内容とのつながりに気づくことができます。
SDGsへの取り組みができる部分を見つけることができるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
環境と企業とSDGsは深く関係していることが分かりました。
具体的に何をすればいいのか分からない、という方も、活用ガイドを見て社員のみんなでSDGsについて考えてみる機会を作ってみてはいかがでしょうか。
今企業に求められているのは、「Sustainability(サステナビリティー)=持続可能性)です!