全ては猫様のために。飼い猫の行動を知らせる未来の首輪「Catlog」開発エピソード

全ては猫様のために。飼い猫の行動を知らせる未来の首輪「Catlog」開発エピソード

いまやペットは家族の一員。

我が子のようにかわいがっている方も多いのではないでしょうか。

 

外出中や旅行中に、飼い主であれば一度は考えることは、いまネコは元気にしているかどうか。

ちゃんとご飯を食べたか?お水は飲んだか?吐いてしまってはいないか?病気になっていないか?など、ネコを飼っている方なら一度は不安になったことがあるはず。

 

そんな飼い主の不安を解消する、ネコを見守る首輪「Catlog」が登場します。

 

「すべては猫様のために」と語る株式会社RABO代表の伊豫 愉芸子(いよ ゆきこ)さん。

伊豫さんはどのような想いで「Catlog」を作ったのか、ネコ好きが直面している課題はなにか、そもそもネコの魅力とはなにか?

株式会社RABOチーフ・キャット・オフィサーであるブリ丸と一緒に、お話を伺いました。

 

伊豫さんとネコとの出会い

 

えってぃー
えってぃー

伊豫さんが初めてネコを飼ったのはいつですか?

 

伊豫さん(以下、伊豫):中学生のときです。

ずっと犬かネコを飼いたいと思っていたんです。

 

紙にまとめて親に提案したり、ブリーダーさんにお手紙を出したりしていたんですが、なかなか飼わせてもらえませんでした。

それまでは文鳥といった、マンションで飼える生き物を飼っていましたね。

 

持ち家に引っ越したタイミングで、妹と一緒に子ネコの里親探しのイベントへ行きました。

ものすごく高い倍率だったんですが、なんとか選ばれることができました。

選ばれた瞬間は「やっとネコが飼える!」って号泣しました。

 

そこで出会った子が、実家で飼っていた「クニ」という子です。

寝るときも一緒で、19年生きてくれました。

わたしは結婚して家を出たので最後の2年は一緒にいることができなかったのですが、クニちゃんに出会って以来、無類のネコ好きになりました。

 

えってぃー
えってぃー

昔から動物が大好きだったんですね。

伊豫:小さい頃から生き物が本当に大好きでした。

虫にもよく触っていましたね。

 

生き物の中でもネコは殿堂入りしています。

ネコのからだの柔らかさといい、人間との適度な距離感といい……。

ネコの会社まで作ってしまうほどに惚れ込んでいます。

Catlog-伊豫さん&ブリ丸

株式会社RABO代表の伊豫さんとチーフ・キャット・オフィサーであるブリ丸。ブリ丸はテストデータ収集やプロダクト開発などを担当している。

 

えってぃー
えってぃー

株式会社RABOのCCO(チーフ・キャット・オフィサー)であるブリ丸との出会いについてもお聞かせください。

伊豫:実家のクニちゃんが死んでしまってからはひどく落ち込んでしまって、二度とネコは飼えないと思っていました。

けれどやっぱりネコが大好きで、よくInstagramで動画を見ていました。

かわいい動画があったら、主人によく「これ見て!これ見て!」と見せていました。

 

主人にはネコアレルギーの気配があったので飼えなかったんです。

けれどある日、お好み焼きを食べていたら「俺がネコ飼っていいよって言ったらどうする?」と聞かれたんです。

 

きっとわたしが毎日のようにネコの動画をみているから「ネコを与えなければいけない」と思ったんでしょうね。

「そんなの飼いたいに決まってるじゃん!」と即答して、翌朝にはもうブリーダーさんを決めました。

 

えってぃー
えってぃー

ものすごいスピードで話が進んでいきますね。

伊豫:主人のネコアレルギーがどの程度のものなのか、すぐ検査を受けてもらいました。

検査結果は出るまでに1週間程かかるんですが、ブリーダーさんに会う約束を3日後にしてしまっていたので、なんとかお願いして急いで検査結果を出してもらいました。

検査の結果、アレルギーは飼えないほどではないとのことだったので、ネコを飼うことに決めました。

 

ブリーダーさんに会いに行ったら、ブリちゃんに一目ぼれしてしまいました。

まだ小さい子猫だったんですが、この子は絶対かわいくなるってわかりました。

生まれてすぐのブリちゃんも、もちろんかわいかったですけどね。

 

Catlogが開発されるまで

ネコはいま何をしているのか?

 

えってぃー
えってぃー

ネコを飼っている方が抱えている悩みとはどんなものなのでしょうか?

伊豫:いくつかあると思いますが、大きいのは人間がみてあげられない時間が多いことです。

 

私たちの調査では「週に5日以上お留守番をさせている」という方が7割弱いました。

そのなかでも「1日5~8時間はお留守番させている」というのが多くみられました。

人間のこどもだったら、こんな長時間お留守番させるなんてありませんよね。

 

えってぃー
えってぃー

たしかに、週のほとんどがお留守番なんて考えられませんね。

伊豫:でもネコには保育園はないし、今の時代ご近所さんにも簡単に預かってもらえない。

 

ネコは自分の毛玉が胃に溜まって吐いてしまったりと、突発的な体調の変化がよくおこります。

仕事中や旅行中、「ネコは大丈夫だろうか?」と不安になるんですよね。

シッターさんを呼ぶとか、カメラを設置するとか、対策をしなければいけない。

 

ペット用定点カメラはいくつか商品がでていて、我が家も設置しています。

けれど、定点カメラには上手くうつらないことが多いんです。

吐いたとしても通知が来るわけではないので、何か異物がうつるだけで「あれはなんだろう?」とただただ不安になる

 

えってぃー
えってぃー

こども同然にかわいがっているのに、それは落ち着かないですよね。

伊豫:さらにネコは具合が悪いことを隠します

あからさまに具合が悪くなって初めて、病院に連れていきます。

 

獣医さんは飼い主さんの問診をベースに診察します。

「いつから具合がわるいの?」と聞かれても、お留守番ばかりだと「うーん……先週あたり……?」といったなんとなくの回答しかできない。

 

えってぃー
えってぃー

それでは十分な治療ができませんね。

伊豫:人間がみることのできないネコの時間って、本当に多いんです。

これを解決できるのでは、と思いついたのが、わたしが大学時代にしていた研究でした。

 

大学ではペンギンや海鳥といった海洋動物のバイオロギング(bio-logging)を研究していました。

バイオロギングとは動物にセンサーを付けて、行動を調査することです。

人間がみることができない動物の行動を解析する学問ですから、ネコにも応用できるんじゃないか?とひらめいたんです。

 

えってぃー
えってぃー

学生時代の研究と、猫好きがうまくマッチングしましたね。

伊豫:もうね「Catlogを作るためにわたしは生まれてきたのかな?」とも最近は思いますね。

 

人間だと医療は発達していますが、動物はまだまだです。

Catlogはデータを獣医師さんなどにシェアすることもできます。

動物医療研究がすすむきっかけにもなれたら、と社名もRABO(ラボ)という名前にしたんです。

 

いずれはこの会社をネコ総合研究所にしたいとも思っています。

 

えってぃー
えってぃー

動物医療の発展にも寄与しているんですね。

 

ネコだけを考えて

 

えってぃー
えってぃー

Catlog開発にあたって、大切にしていたことはありますか?

伊豫:大切にしてることが2つあります。

 

1つは「cat centerd design

人間中心デザインという意味で「Human centerd design」という考えがあってそれにならいました。

とことんネコのことを考えて、ネコにとって良いプロダクトとはなにかを考えました。

 

2つ目は「taste of science

バウリンガルといったおもちゃのような商品はたくさんあります。

けれど私たちは科学的でアカデミックな商品を作っています。

 

えってぃー
えってぃー

ネコ中心デザイン(cat centerd design)とは、詳しくどんなものですか?

伊豫:ペットのウェアラブルデバイスはすでにいくつか出ています。

けれどほとんどが犬を対象にしています。

 

犬とネコの行動って、実は全く異なるんです。

犬用の端末で計測しようとすると、うまくデータがとれないことがわかりました。

なのでネコ専用のウェアラブルデバイスを、1から製作しました。

 

えってぃー
えってぃー

犬とネコって「どっちが好き?」みたいに一緒に話がされますが、全く同じではないんですね。

伊豫:そうなんです。

ネコにとって良いウェアラブルデバイスとはなにかをとことん考えました。

 

例えば犬は嗅覚が優れていますが、ネコは聴覚が優れています。

首についているものから常に音がしていると気に障ってしまうだろうと、音の出ない部品を採用しています。

 

ネコは犬のように散歩をしません。

むしろジャンプをする動物なので、どこかに引っかかってしまうリスクがあります。

万が一引っかかっても首が閉まらないよう、急激な力が加わると勝手に外れる設計にしています。

 

えってぃー
えってぃー

たしかに、どれも大切なことですね。

伊豫:首輪の素材も、首に当たる裏面は樹脂にして、金属が直接触れないようにしています。

ほかにも、充電直後は首輪が熱くなっているので、冷めてから充電完了をお知らせするようにしています。

 

えってぃー
えってぃー

ネコの声がきけるのかというくらい、ネコのことを考えていますね

伊豫:ネコの声は聞こえてきますね。

わたしは自分のことをネコの翻訳家だと思っています。

 

ネコの美しさを損なわないデザイン

 

えってぃー
えってぃー

Catlogはスタイリッシュなデザインですよね。これはどう決まったのですか?

伊豫:実は鈴がモデルになってるんです。

ネコの首輪って、ドラえもんやサザエさんのタマのような、赤い首輪と金色の鈴がイメージされやすいですよね。

 

Catlog-カラー

ネコ鈴ゴールド(左)とキトンブルー(右)。ベルトは交換可能でサイズも3種類あるため、ネコが成長しても使用し続けられる。

 

首輪の鈴は「チリンチリン」と音を鳴らし、ネコの居場所を知らせる役割をしています。

Catlogはネコの行動を知らせる「未来の鈴」になるように、と想いを込めています。

 

えってぃー
えってぃー

そんな遊び心も入っているんですね。

伊豫:大切なのは、ネコにつけてあげたくなる首輪であること。

ネコは美しい動物なので、その美しさを損なわないデザインにしました。

 

カラーはネコの毛色図鑑を使って、どの毛色のネコにも合う色を探し出しました。

元々カラーは何種類か用意していたんです。

けど、「この色はこの毛色のネコには合わない」と何パターンも組み合わせを用意して、最終的に2色に絞りました。

 

カラーは「ネコ鈴ゴールド」と「キトンブルー」の2色。

 

えってぃー
えってぃー

色にもこだわっていますね。ネコにブルーってあまりイメージがわかないのですが……

伊豫:意外とブルーってどの毛色のネコにも合うんですよ。

 

子猫のときは色素が薄いから、目に青色が入っているんです。

これを「kitten blue」といいます。

どのネコも小さいときに持っている色ですから、必然的に似合う色なんです。

 

えってぃー
えってぃー

商品を公開して、どんな反応がありましたか?

伊豫:クラウドファンディングを開始して1時間で目標金額を達成することができました。

開始して3日後には、100個も予約購入されました。

応援コメントにも「こんな製品を待っていました」とか「ネコ好きなら欲しい商品」といった言葉で溢れました。

これは嬉しかったですね。

 

えってぃー
えってぃー

みなさんが待ち望んでいた商品だったんですね

 

クラウドファンディングを選んだ理由

 

えってぃー
えってぃー

今回、なぜクラウドファンディングという形を選んだのでしょうか?

伊豫:クラウドファンディングを選んだ理由は3つあります。

ネコ様のために、みんなで製品を作ろう

伊豫:1つ目はユーザーニーズの調査のため

ネコのウェアラブル端末というのは、まだ世の中にはありません。

インタビューや調査はしていたんですが、ほかの飼い主さんも欲しいと思える商品なのかどうかを確かめたかったんです。

 

コアターゲットにしているのは、多忙でITやガジェットへの感度が高くて、ネコを飼っている人。

そして開発途中の製品であっても許容してもらえる人

そんな人たちが集まっている場所が、クラウドファンディングでした。

 

Catlogは開発途中でデータもそれほど多くありません。

まだまだ完璧ではない状態で販売を開始することになります。

 

ですので、はじめは精度が高くないことを正直にお伝えしています。

みんなでネコ様のために、この製品を作っていきましょう」という考えです。

 

ネコって無償の愛の対象なんですよね。

わたしだって、かわいいネコ様のためだったらなんでもします。

 

えってぃー
えってぃー

ネコ様のために、みんなで製品を改良していくんですね。

伊豫:2つ目は認知の獲得のため

ネコのウェアラブル端末という初めての製品を出すにあたって、どうやって世の中の人にリーチさせるかを考えました。

すでにユーザーがたくさんいるMakuakeに掲載することが効果があるのでは、と。

 

3つ目は資金調達のため

 

クラウドファンディングではいま予約販売をしています。

サービスに共感をしてくれたお客様が、予約購入してくれています。

その売り上げをもとにして、商品開発ができています。

 

一般的なものづくりでは製品を完成させてから販売し、開発費を取り返します。

資金がないと、そもそも開発することができないんです。

 

クラウドファンディングだと「〇人が支援してくれている」「予約購入してくれている」と、ユーザーのニーズを実証した上で資金を調達することができます。

 

ネコはペットのなかでも異例

 

えってぃー
えってぃー

クラウドファンディングで初めて気が付いたことはありますか?

伊豫:複数購入される方が多いのは、想定外でした。

ネコを飼っている人って、多頭飼いしている人が多いんですよ。

 

私の実家にも3匹いましたし。

ネコを飼っている人のうち、4割は多頭飼いというデータもあります。

 

そしてネコ専用デバイスだからこそ、クラウドファンディングが上手くいったのかな?とも思います。

 

飼い主とネコって、どこで出会っていると思いますか?

実は、拾われたネコがほとんどなんです。

 

ペットショップで出会うのは15%ほど。

ブリーダーさんから直接引き取るのは6%ほどしかありません。

犬だと約半分がペットショップで出会うので、ネコはペットのなかでも異例の存在なんですよ。

 

えってぃー
えってぃー

捨て猫がほとんどなんて、びっくりです。

伊豫:野良犬は最近みないですよね。

でも野良猫はまだまだたくさんいます。

「地域猫」として、地域全体で飼われている猫もいます。

繁殖力も高いので、どんどん子猫が産まれて、野良猫が増えていくんですよ。

 

だから、飼い主のいないネコに良い飼い主をみつける活動をしているNPOがたくさんあります。

ネコを飼うきっかけが「かわいそうだ、助けてあげたい。もっと愛してあげたい」という想いなので、こども以上にかわいがっている飼い主さんが多いんです。

 

えってぃー
えってぃー

我が子のようにかわいいから、多少値が張ってもCatlogで見守ってあげたくなるんですね。

 

ネコと人間のこれから

 

えってぃー
えってぃー

Catlogを通して、ネコと人の関係はどの変化してほしいですか?

伊豫:「留守の時間が多い」とか「ちゃんとケアしてあげられるだろうか」とか、飼ううえで不安を感じてしまって、飼うことができないという人が多くいます。

そんな不安を解消してあげて、たくさんの人にネコを家族として受け入れてほしいですね。

 

ネコの譲渡条件ってものすごく厳しいんですよ。

虐待といった悲しい事件も起こっているので。

 

でも譲渡条件に「Catlogをつけていれば、譲渡条件を緩くします」なんてなればいいですね。

ちゃんと世話をしているか、周りはチェックすることができるんですから。

言い方が適切でないかもしれませんが、監視ができるんですよ。

 

えってぃー
えってぃー

その分、救われるネコが増えることになりますね。

伊豫:ネコを飼いたいと思った人が、ネコを飼うことができる。

全てのネコが幸せに暮らすことができる。

いずれはそんな社会になってもらいたいです。

 

 

 

 

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