同じ生きづらさを抱えてきた仲間のために|楽の会リーラ

同じ生きづらさを抱えてきた仲間のために|楽の会リーラ

今回ご紹介するNPOは、楽の会リーラ。

楽の会リーラは、不登校・ひきこもりの親の会をベースに作られたひきこもり支援団体。

とげぬき地蔵で有名な巣鴨駅の商店街の中で、楽の会リーラが運営しているカフェ「コミュニティーカフェ葵鳥」でお話をお伺いしてきました。

楽の会リーラ-カフェ

カフェのメニュー

今回インタビューしたのは、事務局スタッフの大橋史信(おおはし ふみのぶ)さんです。

 

NPO法人楽の会リーラ

大橋 NPO法人楽の会リーラは、不登校・ひきこもりの親の会をベースに設立されました。

 

活動は大きく分けて2つ。

当事者支援と、社会への発信です。

 

当事者支援は、不登校・ひきこもり・発達障害・精神疾患などの生きづらさを抱えているご本人と、その家族に対して支援をしています。

ひきこもっている人は、働きにくさ社会との繋がりにくさが問題としてあり、孤立状態にあります。

 

社会全体の理解を深めてもらうために、社会への発信をしています。

 

社会への発信とは、ひきこもりへの普及啓発活動のこと。

具体的には、生きづらさが問題にならない社会づくりのため、不登校・ひきこもり・発達障害とは何かについて、発信しています。

KHJ全国引きこもり家族会連合の東東京支部として

大橋 ひきこもりを説明するにあたって、世の中の3つの動きがあります。

1つが国、2つ目が都道府県、3つ目が市区町村です。

 

1つがうちの会の母体となっている、NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会。

これは20年前にできた会です。

 

KHJ全国ひきこもり家族会連合は

  • 国に対するロビー活動(政策提言)
  • 超党派の国会議員の先生との意見交換をして政策を作る

  • ひきこもりを知ってもらうための人材養成

といった、国をおさえる動きをしています。

 

都道府県の活動は、各地域にある支部がやっています。

各都道府県に、家族会・当事者のネットワークがあります。

東京だと、萌の会、グループコスモス、町田家族会、そして楽の会リーラ。

楽の会リーラは東東京支部にあたります。

 

地域支援はどうして必要なのか

暮らす場所は地域

大橋 ところで、どうして地域単位の支援が必要なんだと思う?

 

——-一人ひとりに支援を届けるためには、都道府県単位では限界があるのでしょうか?

 

大橋 たしかにそれも一つ。

私の考えだと、一つは地域の行政につながってしまえば、全てがタダになるから。

例えば保健所とかね。

生活困窮者自立支援法という、福祉のことをなんでも相談できる駆け込み寺のような法律があります。

支援の施策はすべて地域単位だから、都道府県単位の団体も必要になってくる。

 

そしてもう一つが、社会が変わらないと生きづらさからは抜け出せないから。

私たちが苦しんでいるのは、世間体・目線・価値観

みんなに理解をしてもらって、正しく協力方法を知ってもらわないと、私たちはずっと生きづらいんです。

だって、暮らす場所は地域ですから。

 

私たちは、地域の人たちにひきこもりは他人事ではないってこと、そして甘えではないってことを知ってもらいたいんです。

みんなひきこもる事情がある、不登校になる事情がある。

 

ちゃんと背景があることを知った上で「私は努力不足だと思う」というのならまだしも、背景も知らずに頭ごなしに批判をされるのは、すごく悲しいんです。

 

当事者目線で考える

私たちのことを私たち抜きで決めるな 私たちのことは私たちが決める

大橋 私たちには共通のメッセージがあります。

それは「私たちのことを私たち抜きで決めるな、私たちのことは私たちが決める。」

 

いま、障害者雇用をめぐる問題が話題になっていますね。

これは制度ありきで枠をはめているだけで、当事者のことを考えていなかったから起こってしまったと自分は考えます。

事なきを得るために制度をつくるから、問題がおきてしまった。

 

だからこそ、当事者目線で考えなければならない。

だからこそ私たちは「私たちのことを私たち抜きで決めるな、私たちのことは私たちが決める。」とメッセージを伝えているのです。

 

同じ生きづらさを抱えてきた仲間のために

大橋 楽の会リーラでは、「当事者が」「当事者のために」「当事者のための」活動を大切にしています。

 

これは簡単に言うと、相互扶助の活動。

楽の会リーラのような家族会のことを、セルフヘルプグループとも言います。

セルフヘルプグループとは、何らかの障害や困難・課題・悩みを抱えた人が、同じような課題を抱えている個人や家族と共に、当事者同士の自発的なつながりで結びついたグループのことです。

 

私は不登校といじめの経験があります。

いま38歳なんですが、33歳の夏に発達障害があることがわかりました。

 

私はひきこもりではなく「そとこもり」と言っているのですが、家族や社会との関わりで苦労をしてきた、という経験は一緒です。

 

同じ生きづらさを抱えてきた仲間に、同じ苦しみをもつ仲間のために、なにかできることはないか、という気持ちで活動しています。

 

——-だから、相互扶助というキーワードを大切にしていらっしゃるんですね。

 

大橋 そうです。ここのスタッフは、9割程当事者です。

 

わたしは誕生日が2つあると思っています。

1つは自分の産まれた日。

もう1つは発達障害があると診断をうけた日。

 

33年間、とにかくいろんな生きづらさを経験してきました。

診断を受けてからは、同じ苦しみ、生きづらさがあるご本人とその家族と一緒に生きる道を模索しようと思った。

だからいま、ピアサポーター(ピア=仲間)として、この活動を真剣にやっているのです。

 

好きでひきこもっている人は、いないと自分は思います。

きこもっている人も自分の生きるべき道に悩み苦しんでいるんです。

そのことを知ってもらいたいです。

 

自分らしく生きるために

きこもりと暴走族は実は仲間

大橋 私たちは、ひきこもりが問題にならない社会、ひきこもっていても生きていける社会を目指しています。

これは「自分が自分らしく生きることのできる社会」だと思います。

 

障害者も、ひきこもりも、暴走族も、家出も全部共通項があるんです。

違いは外にでる元気があるかないかってだけ。

 

自分が自分らしく生きることができる社会になればいい。

それが「自分らしく生きる」ということでしょう。

 

「人薬」と「時薬」

大橋 ひきこもりにいい薬は「人薬」「時薬」。

いくら人と関わるのが好きでも、初対面で「大好き!」と抱きついたらだめですよね。

そういう距離感がわからなくって、人との接するのが苦手になってしまうという人がいます。

 

人と関わることが嫌になってしまっても、家族は近くにいます。

人のよさを感じることができるのが、家族です。

これが「人薬」です。

 

ただ、人のよさがわかるようになるまでには時間がかかります。

だから「時薬」が必要になってくる。

 

人と時間をかけながら、本人と家族が悩んでいる呪縛をすこしずつほぐしていく。

これがひきこもりの処方箋です。

 

頼ることも自律

大橋 ジリツをどう書きますか?自立と自律ってありますよね。

 

——–自立は生活面のジリツ、自律は精神面のジリツでしょうか?

 

大橋 わたしたちは後者の「自律」を求めます。

「自律」には、「人に頼る」という意味も含まれてきます。

例えば、誰かに相談をするとか、福祉制度を使って生きるのだって、一つの手です。

 

頼るとか相談するってことは、恥ずかしいことではないんです。

いまこれを読んでいる人に、困っている人がいるのなら、誰かに相談をしてほしい。

 

誰かと繋がる、という一歩が大切。

けれど、その一歩だってあなたのタイミングでいい、時間をかけるのも大切だからね。

 

編集後記

大橋さんお話ありがとうございました。

 

大切なのは自分らしく生きる人を、社会が受け止めていくこと。

ひきこもりにとっても、障害者とっても、暴走族にとっても生きやすい社会とは、きっとみんなが生きやすい社会なんだと思います。

 

大橋さんのインタビューの続きはこちらで!

ひきこもり支援の歴史と実態|自分らしく生きることができる社会とは

 

 

 

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