「オランダは学義務教育が無料で受けることができる?!」
「中国の高校生は男女の交際が禁止?!」
などなど、国の数があるだけ、教育の数があります。
今回は、いろんな国の教育現場がどういうものなのか覗いてみました。
オランダ
ヨーロッパの国、オランダ。
チューリップ畑、風車など、メルヘンチックな雰囲気がありますよね。
長崎県にあるハウステンボスは、オランダをイメージしているということで有名です。
また、オランダはマリファナが合法の国の一つ。
また、世界で初めて安楽死法が成立した国でもあります。
そしてオランダは、2001年に世界で初めて同性婚を合法化し、性のダイバーシティ(多様性)が推進されています。
そのため町のいたるところで同性のカップルが手をつないで歩いている光景を見かけることが多々あります。
個々の自由を尊重した素晴らしい国、オランダ。
そんなオランダの教育ってどんなものか、見てみましょう!
世界一子どもが幸福な国
少し前にはなるのですが、2013年に発表されたユニセフのレポートによると、オランダは先進31か国の中で子どもの幸福度1位を獲得。(ちなみに日本は6位。)
この順位は、子どもを取り巻く5つの分野(物質的豊かさ・健康と安全・教育・日常生活上のリスク・住居と環境)の平均順位から算出されました。
また、子どもの幸福が世界一と言われているのと同時に、オランダは教育も世界一だと言われているんだとか。
世界一と言われているオランダの教育とは
なんと驚くことにオランダは義務教育が無料なんです。
オランダの義務教育は5歳から16歳で、オランダで暮らしている子ども(オランダ国籍ではない子供や難民の子どもも含む)はみんな学校に通う義務があります。
オランダ国籍を持ってなくても、オランダで暮していれば無料で義務教育を受けることができます。
ちなみに、日本でも以前から教育の無償化は何度も議会で話題に上がっていますが、授業料が無料の公立小学校ですら、その他学校教育費(修学旅行・学校納付金・学用品・通学関係費など)、学校給食費などで別途費用が必要になります。
その額1年で102,404円。
小学校6年間で考えると、総額614,424円になります。
公立にも関わらず上記のお金が必要なんです。
また、日本の場合学校で使用される教科書は都道府県の教育委員会によって定められていますが、オランダの場合はどんな教科書を使うか、どのように教育するかはそれぞれ学校の判断にゆだねられています。
しかも驚くことに公立も私立も関係なく、授業料は無料です。
そのため、お金に関係なく自分が通いたい学校を選んで通うことが可能です。
この制度は、子どもだけではなく親も嬉しい制度ですよね。
性教育・麻薬教育がしっかりしている
自由な国である以上、ちゃんと知識として身に着けておく必要があります。
「オランダでは小学校の高学年と中学校でくわしく学びます。
たとえばアルコールやタバコをふくむ合法・非合法すべての麻薬について、生産過程、効能、中毒のなりやすさ、健康への害、医療での利用法を教えます。
性教育は、男女それぞれの生殖器の機能や性交、受胎、妊娠、避妊を男女共学の教室で教えます」
とのことです。
そうした前提をふまえ「個人の判断に任せる」のがオランダの基本姿勢なのだそうです。
イエナプラン教育とは
オランダでは、イエナプランと呼ばれる教育モデルが多くの学校で導入されています。
このイエナプランとは、もともとドイツのイエナ大学の教育学者が唱えた教育モデル。
憲法で教育の自由が保障されているオランダは、他国の教育方法も自由に取り込むことができます。
イエナプランは、自分の長所や短所を知るだけではなく、友達の長所を発見し認め、社会でさまざまな人と協力して活動できる大人を育てるという狙いがあります。
そのため、生徒が障害を持つ持たないに関わらず、皆んなが同じ環境で協力しながら学びの生活を送ることを基本としています。
■イエナプランの特徴
1. 異年齢のクラス編成
学級は異年齢の子どもたちによって構成される。
通常、3学年にわたる子どもたち、例外的に2学年にわたる子どもたちの場合もある。
学級は『根幹グループ(ファミリー・グループ)』と呼ばれ、学級担任の教員は『グループ・リーダー』と呼ばれる。
毎年新学年になるごとに、年長の子どもたちが次のグループに進学し、新しく年少の子どもたちがグループに参加する。
原則として、グループ・リーダーは交替しない。
2. 4つの基本活動
学校での活動は、会話・遊び・仕事(学習)・催しという4つの基本活動を循環的に行う。
会話はサークルを作ってグループ・リーダーも生徒と共に参加して行われる(サークル対話)。
遊びは企画されたもの、自由遊びなど様々な形態が用いられる。
仕事(学習)は、自立学習と共同学習の2種類がある。
催しは、週のはじめの会、週の終りの会、特別の年中行事、教員や生徒の誕生日などで、喜怒哀楽の感情を共有して学校における共同体意識を育てることに目的が置かれている。
また、この4つの活動を循環的に行うために、時間割は教科別で作られず、4つの活動のリズミックな交替をもとにして作られる。
3. 生と仕事の場としての学校
学校は、子どもと教員と保護者とからなる共同体と みなし、子どもが大半の時間を過ごす場として、リビングルームとしての環境づくりを強調する。
(編集部注:リビングルームというと、リラックス=遊びと言ったイメージもあるかもしれませんが、イエナプランでは、教員と生徒がグループとして、学びやすい環境を自ら整えていくという共同生活の場という意味合いが大きいと感じました)
4. 学校教育の中核としてのワールドオリエンテーション
社会と理科といった教科別の学習をつなぎ、それに基づいて『学ぶことを学ぶ』ために設けられた総合的な学習の時間が尊重される。
5. 健常児も障害児も共にまなぶ
インクルーシブな教育を目指し、生徒集団を、可能な限り生の社会の反映として とらえ構成しようとする。
そのために、早い時期から、特別のニーズを持つ障害児らの入学を積極的に認めてきた。
参考:FutureEdu TOKYO/オランダで普及している「イエナプラン」教育から学ぶ、21世紀にふさわしい全人教育の形 July 24, 2017
日本とは異なった教育モデルですね。
中国
日本の人口の約13倍の、人口13憶人を抱える中国。
日本でもたくさんの中国人観光客を見かけますよね。
では、そんな中国はではどのような教育がされているのか見てみましょう。
超学歴社会の中国
中国は日本と同じく6年(小)・3年(中)・3年(高)・4年(大)制。
義務教育は日本と同じく小学校6年間、初級中学(日本の中学校に相当)3年間の合計9年。
義務教育の間は学費は無償です。
また、中国は””超””がつくほどの学歴社会。
良い大学に入って良い会社に入ることが一番の親孝行だといわれています。
一人っ子政策が緩和されたものの、未だに一人っ子が多い中国では、子どもに一家の運命がかけられているといっても過言ではありません。
中国には、毎年6月の上旬に2~3日間に渡って行われる、中国大学統一入学試験というものがあります。
今後の人生が決まるとも言われているこの試験。
この試験で、12年間の12年間の学習成果が試され、激しい競争を勝ち抜けるかどうかで、これからの人生が決まってしまうのだ。
毎年のことだが、この数日間は、試験会場周辺の道路が車両通行止めになる等、交通規制が実施されるのだが、これは受験生たちがスムーズに到着するためだ。
それ以外にも、受験生が安心して受験できる環境を作り出すため、高考期間中は試験会場周辺500メートル圏内で騒音が出る全ての工事、作業が禁止される。
受験開始時刻に遅れないため、大手タクシー会社は1週間前から予約専用の電話回線を設けて、専用車の予約を受け付ける。
そして、会場周辺のホテルは数ヵ月前から予約で満室となる。
それは少しでも多くの睡眠時間を確保するためと、“缶詰め”状態で最後のひと踏ん張りをするためだ。
親も夫婦そろって勤め先を休んで全力で受験生を支える。
校門の前では、受験生を上回るおびただしい人数の親たちでごった返す。
試験会場に入るわが子を見届け、終わるまで待ち続けるのである。
1日16時間勉強
中国では、大学受験をする学生は1日16時間も勉強するんだとか。
毎日課される宿題の量も大変多く、学校の他にも塾に通う学生がほとんど。
また、中国では早い子は中学生のころから勉強のために学校の寮に入る子も少なくありません。
中国では「良い大学に受からなければ、社会人になってすごく苦労する」という考えが根強く、勉強時間をきちんと管理された寮で、日々勉強に励み大学受験に臨みます。
恋愛禁止
驚くことに、中国の高校は恋愛禁止の学校が多いです。
理由はただ一つ、勉強の邪魔になるから。
もし交際が発覚した場合、お互いの両親が学校に呼び出されるほか、厳しい高校では自主退学させられる場合もあります。
そして、中国の高校や大学は、日本のように文化祭や体育祭などもありません。
なぜなら、勉強に必要がないから。
中国では日本の学園ドラマやアニメなどが大人気なので、日本に旅行しに来たときはテレビの影響から学園祭に行く中国人観光客も多いです。
日本の学校のような楽しい学園生活を送りたいと心の中では思っている人も少なくはありません。
ミャンマー
この記事も何度か登場している国、ミャンマー。
ミャンマーは4年連続、世界で最も寛大な国としてランクインしています。
そんなミャンマーの教育はどんなものか見てみましょう。
義務教育はない
ミャンマーには市立の学校がなく、全て公立です。
1年間の幼稚園課程を含む小学校が5年間、中学校が4年間、高校が2年間、大学が4年から8年間となっており、義務教育という制度が設けられていません。
日本とは異なり、小学校から毎年進級試験が行われるため、かなりの生徒が留年したり、退学しています。
僧侶が経営する学校もある
ミャンマーにはミャンマーは仏教国でもあることから、一般的に親は教師に協力的であり、親子とも教師に対し尊敬の念を持って接している。
また教育省に承認された宗教省の僧院教育も存在しており、僧院長たる僧侶が寄付金等で経営をする僧院付属小学校、中学校、高等学校がある。
これらの学校は、生活に困窮している子供たちの就学を目的としており、学費は無料となっている。
僧院付属学校数はミャンマー全国で1,531校(2015)ある。
義務教育がないため教養がないまま大人になる子も
小学校を卒業しないまま成長した若者や成人は読み書きや計算の能力が不足していることから、衛生や保健、自分の保護のための知識が得られず、就職の機会も限られることから社会的に不利な立場におかれています。
情報省はこれまでビルマ語でのみ出版するという方針を転換し、少数民族の言語での出版を奨励・支援する政策を打ち出していますが、それらの本はまだ不足している状態です。
先生が足りていない
ミャンマーは、深刻な先生不足に悩んでいます。
ヤンゴンなどの都市部では足りていますが農村部などの地方では、教師の資格を持った人が少なく、例え資格を持っていても先生はみんな給料良い都市部に出て行きます。
そして拍車をかけるのが賃金の安さ。
先生の平均所得は日本円にして1.3万円。
一人ならなんとかやっていけるかもしれませんが家族を養っていける額ではありません。
賃金は高学年を教えれば教えるだけ高くなるので良い先生は皆高学年の先生になり、必然的に低学年は優秀ではない先生がかろうじている、もしくは足りない状況です。
この現象は途上国で特に顕著です。
その足りない先生をどう補うのか。
素人を強制的に先生にするシステムが存在し、形だけの研修を受けた(先生)が地方に送り出されます。
そんな先生の下で育った生徒は低学年のうちに勉強がわからなくなりドロップアウト、学年は上がれても高校を卒業できないという負のスパイラルが続きます。
働きながら学校へ行く子も
ミャンマーは制度上では授業料は無償とされているが、多くの貧困家庭にとって、授業を受けることにより発生する諸費用(制服や本、教科書など)が経済的負担となることが明らかになっています。
そのため、子どもが家のお手伝いなどができるようになる7才くらいの年齢になると、貧困家庭の多くが子供に学校に行くことを辞めさせ、家の事をさせたり、働かせながら学校に通う子も出てきます。
このように、貧困家庭の子供に対する教育機会は、親の所得水準により大きく左右される状況となっており、抱いた夢を諦めなければならない子もたくさんいます。
私たちができること
この負のスパイラルを止めるために、私たちができることとはなんでしょうか。
30年にもわたって、東南アジアの国々を支援している団体があります。
それは「公益財団法人民際センター」
カンボジア、タイ、ベトナムだけでなく、ミャンマー、ラオスといった、東南アジアの国々を支援しています。
公益財団法人民際センターは、1987年、タイ東北地方の41人の子どもへの奨学金提供から始まりました。
はじめ支援していた子どもたちは、いまはもう立派な大人。
看護師や農業技術者など、さまざまな分野で活躍し、国の発展を支えています。
いま行われているプロジェクトは、学校建設プロジェクト、図書支援プロジェクト、女子寮建設プロジェクト、通学自転車支援プロジェクト、教師育成プロジェクトなど。
奨学生を1対1で支援できる「ダルニー奨学金」では、これまで約40万人の子どもたちを支援してきました。
ダルニー奨学金とは?
「ダルニー奨学金」制度は、経済的貧困で中学生教育を受けられない子どもたちを支援する、国際教育里親システムです。
ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える”1対1の顔の見える教育支援”です。
中学校入学から卒業までを支援します。
今までに、約400,000人以上の子どもたちの中学就学が実現しています。
また、支援者には写真付きの子どもの情報が、子どもには支援者のお名前が送られます。
ドナー1人につき1人の子どもを支援する”1対1の顔の見える教育支援”で、子どもには誰が支援してくれているのかを伝えています。
毎年、支援する子どもの写真と現状を記した報告書をお渡しします。
年々の成長を実感することができます。
1日あたり40円、月々1,200円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。
マンスリーサポーターとなって、世界中に教育を届ける公益財団法人民際センターの活動そのものを応援しませんか?