教育問題と聞いて、みなさんはどういった問題を想像されますか?
ひとくくりに教育問題といっても、日本と海外では問題の内容も大きく異なってきます。
今回は、海外の中でも発展途上国の教育問題についてフォーカスします。
識字率
まず、その国の教育レベルを表す基準の一つに、「識字率」というものがあります。
「識字」というのは、文字を読んだり、書いたりして、その文字を理解する能力を指します。
また、「識字率」というのは、15歳以上の人口に対する、日常生活の簡単な内容についての読み書きができる人口の割合を指します。
筆者も今こうやって文字を書き、自分の考えや意見をこうやってみなさんに発信できていますが、当然幼いころは全く文字を書くことも読むことも、もちろん話すこともできなければ理解することもできませんでした。
そんな筆者も、成長するにつれて文字の読み書きが徐々にできるようになりました。
筆者が今このように文字を書いたりできているのも、保育園や学校で先生から教えて頂いたおかげですし、何より家族や友達と沢山お話して練習したからです。
文字が読めるということ
皆さん、想像してみてください。
もし文字が読めなかったら、毎日の生活が非常に困難です。
全く言語が異なった、英語も通じない国に行ったような気分になるのではないでしょうか。
それだけ文字を読み書きできる能力っていうのは、生活する上でとても重要な能力なのです。
世界の識字率
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によると、識字率は着実に上昇しているのにも関わらず、世界には未だ7億5000万人の無識字者(文字を読み書きできない15歳以上の人)がいるそうです。
これは、国別の識字率をあらわした地図です。
色が濃ければ濃いほど、その国の識字率が低いことを表しています。
参考:ユネスコ公式ホームページ
上記の地図を見たらお分かりいただけるように、アフリカの識字率はかなり低く、アジアではアフガニスタンが非常に低いという結果が出ています。
また、7億5000万人の無識字者のうち、3分の2は女性。
50年前から比較すると、男女の識字率の差は縮まってきてはいるものの、まだ女性の無識字率は依然として高いままです。
教育格差
このように、国ごとに教育格差があるのはお分かりいただけたかと思いますが、この教育の格差は同じ国の中でも差があります。
農村部と都心部で違いが
農村部は都市部に比べて学校の数が少ないのはもちろん、先生の数も少なく、比較的待遇がいい都市部に先生が出て行ってしまうことが多いです。
よって、同じ国なのに教育の格差が生まれ、その格差がどんどん大きく開いていくという現実があります。
本当は勉強したくても、環境のせいで勉強できない子ども達がたくさんいます。
他にも、教育格差が起こる原因が挙げられます。
女の子は男の子に比べて勉強する意味がないと考えられている
まだ世界には男女差別が未だに残っている国が多くあります。
また、途上国の場合10代半ばで望まない結婚を強いられ、出産も経験する女の子の割合が非常に高いです。
避妊という知識がそもそもないため、まだ10代という出産の準備が整っていない身体で出産しなければならないのです。
また、おなかの中に入っている赤ちゃんが女の子だと分かった瞬間、「女はどうせお金を稼げないから」という理由から中絶を余儀なくされ、この世に生まれてくることさえ許されないことが多くあります。
そして、もしこの世に生まれたとしても、「女は家事と子どものお世話をするから勉強する必要なんてない。」といわれ、学校に通わせてもらえないのです。
貧困の連鎖から抜け出せない
貧しい家庭に生まれ、文字の読み書きができない親に育てられた子ども達は、教育をまともに受けることができずに育ちます。
そして大きくなっても低賃金の仕事にしか就くことができず、貧困の連鎖から抜け出せないのです。
その他にも、教育格差が起きる原因は多くあります。
e-Educationとは
この教育格差の問題に革命を起こした団体があります。
それは、e-Education。
「世界の果てまで最高の授業を届ける」
という目標を掲げ、主に発展途上国で今まさに教育革命を起こしている団体です。
創業者の熱い思い
創業者の税所篤快さんは言います。
高校時代は偏差値が28で、数学の定期試験はなんと100点中2点。
先生には、「おまえが大学に受かるわけがない」と言われました。
転機は、衛星授業の予備校に通い始めたこと。
一流の先生の授業をDVDでくり返し見ながら、基礎から一歩ずつ理解していく。
猛勉強の末、早稲田大学に現役合格できたのです。
バングラデシュで夢をあきらめかけた哀しそうな表情の子どもたちを見ながら、落ちこぼれだった僕を救ってくれた映像授業を思い出しました。
そして私たちは、バングラデシュでDVDを使って授業を配信するため、挑戦を始めました。
この熱い思いを胸に、税所さんの活動はスタートしました。
映像授業を始める準備としては、バングラデシュの東大といわれているダッカ大学周辺で予備校情報をリサーチし、自分たちの活動に協力してくれる講師を探して口説き、講師の授業を録画する、というものでした。
何のつながりもないバングラデシュでの挑戦でしたが、税所さんに協力してくれる仲間が徐々に増えていったそう。
録画された授業の映像を、村の若者たちに無料で公開。
いままで勉強したくてもできなかった子ども達は、動画を食い入るように見入ったそうです。
願いが叶った
その他にも、ダッカ大学を訪ねるツアーを開催したり、現役の大学生がチューターで勉強を教えに来てくれたそう。
その結果、活動がスタートした初年度では、ダッカ大学に1人合格し、その他にも18人が大学に進学することができました。
まさかこの村から大学進学者が出るなんて、誰もが思っていなかったことが起きました。
子ども達の中に眠っていた才能を花咲かせ、不可能を可能に変えたんです。
ダッカ大学に合格したMd. Mobarock Hossainさんは言います。
この国には、ほんの少しのお金がないために、チャンスをつかめない人たちが数多くいます。
僕はそういった人たちにお金と教育を提供することができる人、一流の銀行マンになりたいと思っています。
僕はこの国を変える人になりたい。
日本の皆さんからの応援のおかげで、僕たちは大学に合格できました。
まだ日本の人たちに会ったことはないけど、すごく親切で心温かい人たちなんだろうなと想像しています。
いつか会える日を信じて、これからも頑張ります。
ーー僕はこの国を変える人になりたい。ーー
この言葉を沢山聞ける日を夢見て、e-Educationは日々活動しています。
映像教育が成果を挙げた理由
このように、映像を使っての授業が成果を挙げた理由とは…
その国の最高水準の授業が受けられる
創業者の税所の熱意が伝わり、バングラデシュの首都、ダッカのトップの予備校講師による最高の授業が叶いました。
誰でも無料で受講できる
村には当然パソコンがありません。
集められた寄付や寄贈によって村にパソコンが用意され、そのパソコンで子供たちは無料で授業をうけることができます。
理解度に合わせて、くり返し学べる
DVDですので、自分が苦手なところを何度も何度も繰り返し見て勉強することができます。
納得がいくまでとことん学べるのも、映像学習ならではの利点ではないでしょうか。
私たちができること
こちらをご覧ください。
左から順に、東南アジア、アフリカ、日本の2017年の人口グラフです。
見て頂いたら分かるように、日本とは逆で東南アジアやアフリカは若い世代の人口がとても多いです。
このたくさんの子ども達の中で、文字が読めるのはそんなに多くはありません。
私たちにできることは何でしょうか。
支援の仕方は様々あります。
経済格差や差別によって、埋もれていた子ども達の秘めた才能を引き出してみませんか。
子ども達の未来に投資してみませんか。
私たちの力で、途上国の子ども達の教育を、そして子ども達の未来を変えてみませんか。