どうして人は寄付するの?寄付文化や海外の事例など

どうして人は寄付するの?寄付文化や海外の事例など

寄付とは、お金や物品などの財産を、福祉施設、NPO法人、公益財団、自治体などに無償で提供することです。
震災が起きたときに集められる「義援金」「支援金」も寄付の一つです。

ご存知のとおり、寄付には利子が得られる、商品がもらえる、などのリターンはありません。
では、どうして人は寄付をするのでしょうか。

今回は寄付をする理由について調べてみました。

寄付をする文化があるから

海外では

慈善活動と宗教は、歴史的にも深い繋がりがあります。
日本でもミッション系の学校に通っていた人であれば、「奉仕活動」といって寄付やボランティアをした、という経験もお持ちなのではないでしょうか。

宗教の文化が生活に根付いている国では、幼いころから教会や寺院に通い、チャリティやボランティアなどに参加するため、社会貢献活動に対するマイナスイメージが少ないとされています。

実際に、世界の社会貢献ランキングの1位は、仏教大国ミャンマー。
貧しい人や修行僧に寄付をすることで功徳を得ることができると考えられているため、貧しい国でありながら、毎日のように寄付が行われます。

日本では

アメリカの寄付市場は30兆円を超えているのに対し、日本の寄付市場は約1兆円。
GDPベースで見ても、アメリカは2%なのに対し、日本はGDP比の0.2%に留まっています。
この数値を見ると、日本では寄付文化は根付いていないといえるでしょう。

しかし、東日本大震災で日本にも寄付の文化が芽生えました。
日本ファンドレイジング協会のデータをみてみると、
個人寄付総額は2010年は4874億円だったのに対し、2011年は10182億円、
2012年は6931億円、2013年は7409億円と、震災以前よりも増加しています。
そのこともあって、2011年は「寄付元年」とも言われています。

そして意外なことに、日本人は古くから寄付をしていました。
日本で初めて寄付が集められたのは、奈良時代。
奈良の東大寺にある大仏を建立するために、行基が中心となって寄付を募りました。

税金対策として

日本には、寄付をすることで節税になる仕組みがあります。
それは所得控除のひとつである寄付金控除。
配偶者控除や勤労学生控除、新しいのではセルフメディケーション税制の仲間です。

寄付金控除とは、国や地方公共団体、認定NPO法人、公益社団法人などへ対して寄付をしたとき、所得税の所得控除が受けられる制度のこと。

寄付金控除の仕組みや方法について、「寄付で節税!?お金が帰ってくる!寄付金控除のしくみ」で詳しく説明しています。

 

ここまで読んで、「なんだか難しそう…」と思った方、実はもう寄付金控除を受けていたかもしれません。
納税をして、返礼品として全国各地の名産品がもらえるふるさと納税。
美味しい旬の食材が手に入ると、頻繁に使っている方もいるのではないでしょうか。

実はふるさと納税も、寄付金控除の仕組みを使っています。
「納税」と名付けられているため、寄付のイメージはないかもしれませんが、自治体に寄付をしていることになります。

詳しくは「ふるさと納税で地方を応援!お互いおいしい仕組みの不思議」にて説明しています。

 

実際に、平成28年に内閣府が寄付をしている人に行った調査では「所得税が軽減される制度があるから」と答えた人が5.7%います。

意外にも、節税のために寄付をするという人はいるのですね。

 

社会にアピールするため

平成28年に内閣府の寄付者調査では、「社会的に評価されるため」という回答もあります。
日本ではあまり寄付したことを公言しないかもしれませんが、海外ではユニークな取り組みもあります。

それは「TheGivingPledge」というもの。
資産家が財産の半分以上を慈善活動に寄付したことを、オンライン上で公表することで、社会的な関心を高めよう、という取り組みです。
ビル・ゲイツとウォーレン・バフェットが立ち上げ、話題になりました。

TheGivingPledge

参考:TheGivingPledge公式ホームページより

アメリカで始まった活動ですが、オーストラリア、ドイツ、インド、マレーシア、ロシア、南アフリカ、ウクライナ、英国と範囲が広がり、現在は国際的な支持を得ています。

寄付をした人の名前がわかる、というのは日本ではあまりなじみのない文化かもしれません。
しかし、お寺や橋の建設のために寄付をした人の名前が、石や木に彫ってある、というのをみかけたことはないでしょうか
意外と日本でも、「社会に評価されるため寄付をしている」という人は、いるのかもしれません。

 

多く報酬を受け取ってしまったから

人のモチベーションを分析したものに、エクイティ理論というものがあります。
これは、自分の仕事への取り組みに対する報酬と、他人の仕事への取り組みに対する報酬を比べたとき、不公平であると感じた場合はなるべく公平になるよう調整する、というものです。

この公平感を調整するために、寄付をするのでは、という説があります。

ある実験をみてみましょう。
大学生の被験者36名をA, B, Cの3グループに分け作業をさせ、Aグループには仕事に対して謝礼を多く、Bグループには謝礼と仕事は見合ったものと伝え、 Cグループには金額についてはなにも言わずに報酬を渡しました。

その後もらった謝礼を寄付してもよいと思うかどうかを聞いたところ、寄付してもよいとする被験者数は3グループ間で差は見られませんでした。
しかし、謝礼が過大であると感じた人は、グループに関わらず寄付をする傾向にあったといいます。

このことから、人は予想以上の報酬が与えられたとき, 寄付することで調整し、収入のバランスを回復させる、ということがわかっています。

参考:過大報酬と援助動機に関するEquity理論的研究

 

幸せになれるから

心理学的には、自分のためにお金を使うよりも、他者のために使ったほうが幸せになれるとされています。
それはある社会実験で証明されています。

実験の参加者にお金を渡し、自分のため、あるいは誰かのために使うよう指示しました。
その日の夕方に幸福感を測定した結果、実験前に計測した幸福感よりも、人のためにお金を使った参加者の方が、そうでない参加者よりも幸福感が上昇していたとか。

このほかにも、寄付と幸福感に関する研究はたくさんあります。

内閣府の調査でも、日本人が寄付をする理由の1位は「社会の役に立ちたいと思ったから」。
人の役に立っているという実感を得ることで、他の人を幸せにするだけでなく、自分も幸せになることができるんですね。

参考:経済的な豊かさと寄付の心理的効用の関連 ―東日本大震災前後の比較―

まとめ

いかがでしたでしょうか。

正直なところ、寄付はイイコトだけどする人に対してはあまりいいイメージはない…という読者さんもいたのではないでしょうか。

しかし、寄付をする理由は予想以上にいろんなものがありました。
「寄付をする人は〇〇だ」と決めつけてしまうのではなく、まずはどういう気持ちで寄付をしたのか、周りの人に聞いてみるのもいいかもしれませんね。

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