なぜ与える?寄付の宗教的ルーツを調べてみた

なぜ与える?寄付の宗教的ルーツを調べてみた

人はなぜ寄付をするのでしょうか。

日本には寄付の文化がない、と言われていますが実は古くから寄付はありました。
日本ではじめて寄付が募られたのは、奈良時代。
東大寺にある大仏を建立するために、奈良時代の僧、行基が中心となって寄付を募りました。

ここで大きな原動力となったのが、心のよりどころとなる仏様を作りたいという気持ち。
宗教と助け合いは、古くから密接に関わっていたのです。

では、宗教では寄付や慈善活動について、どう捉えているのでしょうか?
それぞれの宗教での考え方をまとめてみました。

 

キリスト教

キリスト教とは

キリスト教とは、イエスを救世主として信じる宗教のこと。
ユダヤ教の一派として始まり、4世紀にキリスト教がローマ帝国の国教となったのをきっかけに、世界中に広がっていきました。

信者数は現時点で21億人で、ヨーロッパ、南アフリカ、南アメリカ、北アメリカが主要地域。
ご近所だとお隣の国韓国では人口の3割がキリスト教徒です。

日本にも、キリスト教を教育理念とした学校は全国各地にあり、メジャーな宗教なのではないかと思います。

 

キリスト教と寄付

キリスト教における寄付は、「隣人愛」の思想に基づきます。
隣人愛とは、身近な人々に対する愛を指します。

旧約聖書にはこのように書いてあります。

《レビ記》19章18節

「あなた自身のようにあなたの隣人を愛さなければならない」

《マタイによる福音書》22:39

「イエスは、神を愛することとともに、この隣人への愛こそもっともたいせつな戒めだと教えた」

《ルカによる福音書》10:25

「今助けを必要としている人の隣人になってあげることにその意味があるとして、善きサマリア人のたとえを語った」

さらに、キリスト教では自分の稼いだお金のうちの10%を献金することが推奨されているといいます。
これも旧約聖書の中の律法で定められていたことに由来します。

このようにキリスト教では、人のために働くことが定められているのです。

 

ユダヤ教

ユダヤ教とは

ユダヤ教とは、唯一神ヤハウェを信仰するユダヤ人の民族宗教です。
信者数は1400万人とされています。

モーセの律法と神との契約に基づいて、選民思想や救世主信仰をしていることが特徴です。
キリスト教における『旧約聖書』を聖典としています。

 

ユダヤ教と寄付

ヘブライ語で慈善活動は「tzedakah」といいます。
これは「正義」「公平」を意味するヘブライ語のTzadei-Dalet-Qofに由来します。
英語での「charity」は「慈悲」「寛容」を意味しますが、ヘブライ語における「tzedakah」には、単なる慈悲ではなく、慈善活動は正義であるという信念が表れています。

実際に英国にはユダヤ人による慈善団体が2,300以上あり、どの団体も積極的に社会貢献活動をしているとのこと。

また、キリスト教と同じく、収入の10%を寄付にあてることが律令で推奨されています。
「金は天下の回り物」の考えがあり、お金を流せば流すほど、その返りは大きくなるという考えも人々に深く根付いています。

 

イスラム教

イスラム教とは

イスラム教の信者数は約15億人。
世界の人口の5分の1にまでのぼり、キリスト教の次に多い世界的な宗教です。

唯一絶対の神アッラーを信仰し、神が最後の預言者を通じて人々に啓示したとされるクルアーンの教えを信じる宗教です。

過激派がおこす事件から、マイナスイメージを持っている方もいるかもしれませんが、本当は、厳しい戒律を守る誠実な人たち。

イスラム教徒は他の宗教よりも、多くの慈善団体に貢献している、というデータもあります。

イスラム教と寄付

なぜ、イスラム教徒は寄付をするのでしょうか。
イスラム教における寄付は、「喜捨(ザカート)」に由来します。
喜捨とは、イスラム教の五つの柱の一つで、富を再分配することと定義されています。

貧しい人々に慈悲を与えることは、イスラム教徒がアッラーに従うためには必須であるとされているのです。

喜捨のほかにも、ムスリムが取るべき信仰行為として定められた五行はこんなものがあります。

  • 信仰告白(シャハーダ)

イスラム教徒であることを告白すること

  • 礼拝(サラー)

1日5回祈ること

  • 喜捨(ザカート)

収入の一部を困窮者に施すこと

  • 断食(サウム)

ラマダーンの時期は、日中飲食を慎むこと

  • 巡礼(ハッジ)

人生で1回はメッカへ行くこと

 

仏教

仏教とは

仏教とはインドの釈迦(ゴータマ・シッダールタ)を開祖とする宗教。
上座部仏教、大乗仏教と分かれており、アジアを中心に広まり、信者数は4億人といわれています

ちなみに発祥の地であるインドでは、ヒンドゥー教が信仰されています。

仏教では、現世は苦しみであり、この苦しみの輪廻から解脱することを目指しています。

 

仏教と寄付

仏教では、すべてのものが相互依存関係にあると考えられています。
「よい行いをすればよい報いがある」という「因果応報」の思想に基づきます。
つまり、他者に思いやりを施すことは、自分自身の価値を高めることになるのです。

また、寺や神社に金銭や食べ物を奉納することも、古くからおこなわれてきました。
神や仏に施しを与えることで、自分自身も利益を受けることができる、と考えられているからです。

ここで、ミャンマーの事例を見てみましょう。
上座部仏教を信仰している人が人口の9割を占めるミャンマー。
決して裕福な国ではありませんが、寄付している人の割合は世界一なんです。
これには、少額寄付が国民の生活に根付いているから。
僧が鉢を持って町中を歩き、米や金銭の施し受けてまわる「托鉢」が毎日行われています。

さらに、「食べ物やお金を持っていない人に、お布施をすること」は功徳を得ることができます。
寄附をした人も、「良いことをさせていただきました」と感謝するのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
寄付と宗教が古くから深くかかわっていたことが、少しはわかっていただけたのではないかと思います。

周りの人に「どうして寄付をするのか」というお話をしてみてもいいかもしれませんね。

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