パラリンピックで話題沸騰! 障がい者とスポーツのアレコレ

パラリンピックで話題沸騰! 障がい者とスポーツのアレコレ

2016年のリオデジャネイロパラリンピックで初めて、オリンピックとパラリンピックメダリストのパレ-ドが同時に開催されました。

パラリンピックに関するTV番組やCMも放映されるようになり、年々注目度が高まっています。

そこで今回は、パラリンピックのあれこれ、そしてパラリンピック以外の障害者スポーツについても取り上げていきます。

 

障害者とスポーツ

障害者スポーツとは、障がいがあってもスポーツができるよう、障がいの程度に応じてルールを変更したり、用具などを用いたりと、工夫・適合・開発がされたスポーツのことを指します。

 

思い出してみてください。

小学校の体育のバレーボールはネットの高さが低かったり、男女混合でプレーをするときは特別ルールを設けたことはありませんか?

実はこれと、やっていることは同じです。

 

高齢者、こども、女性などすべての人が参加できるよう修正したスポーツをアダプテッド・スポーツと言い、みんなが公平にスポーツを楽しめるよう、工夫しています。

 

もともと、障害者スポーツはリハビリテーションを目的とされていました。

しかし、いまでは障がいのある人だけでなく、障がいのない人も一緒に楽しむものとしてたくさんの人に広まっています。

 

パラリンピックとは

パラリンピック-ロゴ2020

パラリンピックとは、身体障害者(肢体不自由)、脳性麻痺、視覚障がい、知的障がいを対象とした障害者スポーツの総合競技大会。

オリンピックの終了後、同じ会で行われます。

 

ところで「パラ」とはどういう意味なのでしょうか。

当初は下半身麻痺者を表す「パラプレジア」という言葉でした。

しかし、半身麻痺者以外も参加するようになったことから、平行を表す「パラレル」とオリンピックの造語として扱われるようになったのです。

障害者とスポーツの歴史は?

障害者スポーツの始まりは第1次世界大戦のあと。

戦争で負傷した軍人のためのスポーツとしてヨーロッパで広まりました。

 

国際的な競技会が行われたのは、1960年の第1回パラリンピック。

当時から4年に1回開催されていたので、1964年の東京大会は、2回目のパラリンピックだったということになります。

 

年々規模は大きくなっていき、1960年のローマパラリンピックでは参加国数23か国、参加人数400人でした。

2016年のリオデジャネイロパラリンピックでは、参加国数159か国、参加人数4342人にまでのぼりました。

 

パラリンピック以外にも障害者スポーツの大会はあるの?

実は障害者スポーツは、パラリンピックだけではありません。

国際オリンピック委員会(IOC)が「オリンピック」という名称の使用許可をしているものに、「デフリンピック」と「スペシャルオリンピックス」があります。

 

デフリンピック

デフリンピック

参考:一般財団法人全日本ろうあ連盟 スポーツ委員会公式ホームページ

デフリンピックとは、聴覚障害者のための競技会。

国際ろう者スポーツ委員会が主催しています。

1924年にパリで始まり、オリンピック同様4年ごとに開催されています。

 

ろう者もかつて、パラリンピックに参加していました。

しかし、1995年に国際パラリンピックを離脱したのをきっかけに、パラリンピックに聴覚障害者は出場していません。

離脱した理由はいくつか言われていますが、その1つに聴覚障害者は健常者と身体能力の差は見られず、パラリンピックの主旨にあわないことが挙げられています。

 

スペシャルオリンピックス

スペシャルオリンピックス日本ロゴ

参考:スペシャルオリンピックス日本公式ホームページ

スペシャルオリンピックスとは、知的発達障害者のためのスポーツ組織です。

知的障害者はパラリンピックの一部の競技に参加できますが、すべての種目では参加できません。

 

1962年、ジョン・F・ケネディ氏の妹、ユーニス・ケネディ・シュライバー氏が自宅の庭で知的発達障がいのある人たちを招いたのが、スペシャルオリンピックス始まり。

日本では、1980年に設立されるも解散し、1993年に改めて、細川護熙氏の妻、細川佳代子氏によって設立されました。

スペシャルオリンピックスではスポーツを通して、社会参加をすることを目的としているため、競技会だけでなく、日々のトレーニングを重視しています。

さまざまな活動が毎日おこなわれていることを表すため、「スペシャルオリンピック”ス”」と複数形になっているのが特徴です。

 

パラ選手とドーピングの関係性?

スポーツをする人であれば、少しでもいい結果を残したいと思います。

しかし、正々堂々と戦うべき競技においてドーピングの使用は決して許されるものではありません。

これは障がいをもったアスリートであっても変わらないこと。

しかし、実はパラアスリートならではの問題も起きているのです。

 

常備薬とドーピング

パラアスリートには、障害者特有の問題があります。

それは「薬」

普段服用している薬が、世界アンチ・ドーピング規定に引っかかってしまうことがあるのです。

 

世界アンチ・ドーピング規定は毎年改正されています。

場合によっては風邪薬やサプリメントなど、日常的に飲む薬も含まれています。

オリンピック選手よりも薬が身近にあるパラアスリートは、一層服薬する薬に注意をはらわなければなりません。

 

参考:朝日新聞「パラ選手のドーピング対策 痛み止め薬にも配慮

もう一つのドーピング

パラスポーツでは、薬物を使わない「もう一つのドーピング」と呼ばれるものがあります。

それはクラス分けと深くかかわってきます。

パラスポーツは公平性を保つために、障がいの度合いに応じて選手を複数のクラスに分けたあと、同じクラスの選手で競います。

半身まひの選手と片足のない選手では、競技をする上での条件が全く違ってくるからです。

しかしクラス分けのとき、本当は動く足を、動かないふりをして重いクラスに入りメダルを狙う、ということもできてしまいます。

このような不正が起きないよう、障がいのレベルが判断しにくい場合は、検査を何度か実施します。

平昌パラリンピックにてスノーボードで金メダルをとった成田緑夢選手も、検査を2回受けたとか。

参考:NIKKEI STYLE「もう1つのドーピング パラで障害重くみせれば有利に

試合がはじまる前には、実はこんなことが行われていたんですね。

 

リアルな声、きいてみました

障害者とスポーツについて、スペシャルオリンピックス埼玉で陸上プログラムヘッドコーチを務める、磯野茂さんに、障害者とスポーツについてのお話を伺ってきました。

磯野さんへのインタビューは別の記事がありますので、気になる方はそちらもチェックしてください

パラリンピックとは違う?知的障害者スポーツならではの問題とは

「縦の関係から横の関係に」知的障害者マラソン”伴走家”インタビュー

家族や本人のために

この間の休日は何をしましたか?

新しい服を買いにいった、友人とお酒を飲みにいった、プールに行った、スーパーにいった…などなど。

いろんな予定があったのではないでしょうか?

 

一方、障がいを持った人が同じことをしようとすると、どんなことが起きるのか想像できますか?

障害の程度や環境によるので、一概には言い切れませんが、ひとつイメージをしてみましょう。

 

まず、補助をしてくれる人が必要になります。

それは親や兄弟、またはヘルパーさんかもしれません。

その人にあらかじめ予定を伝え、日程を確保します。

そして、行先にエレベーターはあるか、広いトイレはあるかと、設備を確認します。

 

他にもチェックすべきこと、そして行った先々で注意をすべきことはたくさんあります。

障がいを持った人が外出しようとすると、周囲の人のサポートと準備が必要になってくるのです。

 

これを毎日家族が行うのは、とても大変なこと。

自然と障がいを持った人は、外出する機会が減り、仕事や学校以外は家にいるようになってしまいます。

 

そこで鍵となるのがスポーツなどの課外活動。

身体を動かすことで、外出の機会、身体を動かす機会を作り出します。

 

社会のために

学校という枠を出てしまうと、障害者が社会にでる機会は一気に減ってしまいます。

健常者からみても、学校で障害者と関わる機会はあっても、大人になってから障害者とは関わる機会が少ないのではないでしょうか。

 

磯野さんは「障害者スポーツのボランティアをしていくうちに、健常者とのコミュニケーションの仕方も変わっていった」といいます。

 

例えば磯野さん自身、ボランティアを始めたころは、「助けてあげよう」と上からの姿勢だったそう。

しかし、自分の意志を押し付けても、うまくコミュニケーションはとれない、と感じていきました。

自分の指示がうまく伝わらなかったとき、相手が何を考えているのか、本当は別の方法でやろうとしたのではないかと、相手の立場になって考える癖がついたとか。

 

磯野さんによると、アメリカではボランティアをするとき、ボランティアをする側がお金を支払うそう。

それほど、健常者と障害者がかかわることには学ぶものがあるとされているのです。

 

障害者アスリートの課題は?

しかしながら、障害を持った人が運動をすると、さまざまな問題が浮かび上がります

今回は磯野氏へのインタビューから、課題の一部をご紹介しましょう。

 

支援のかたより・不足

みなさんがスポーツを始めようと思うとき、こどもに習い事をさせてみようと思うとき、目的は必ずしも「オリンピックに出るため」でしょうか?

それは障がいをもった人も同じことです。

 

パラリンピック出場を目指している選手もいれば、身体を動かすことを目的とする選手もいます。

パラリンピックの注目度が高まるにつれ、障がいをもった人がスポーツををしていると「パラリンピックへの出場を目指している」と思われてしまうそう。

 

スポーツである以上自然と「できる選手」が注目されるのは仕方のないこと。

そして資金や人手を集めることができるのも、トップアスリートだけです。

 

しかし、身体を動かすことを目的とする人は、どんどん居心地が悪くなり、活動に参加しづらくなっていく、という課題がでてきます。

また、知的発達障害者のためのスポーツ組織スペシャルオリンピックスでは、4年に1度日本大会、世界大会が開催されます。

しかし、大会に出場できる条件は「身の回りのことが自分でできること」

数日間、選手村で家族以外の人と生活をしなければいけないからです。

 

しかし、知的障がいをもった人にとって、環境の変化はとても不安なもの。

家族と離れなければならないとなるとより一層です。

 

これは知的障害に限った話ではありません。

そのほかの障害でも、自分で競技場に行けること、または競技場まで連れてってくれる人をみつけることができることが、競技を続ける最低条件になります。

 

どれだけ競技能力が高くても、環境が整わない、サポートしてくれる人がいない、など課題は多くあります。

スポーツがしたくてもできない、大会に出場したくてもできない、というアスリートがいるのは実情です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

パラリンピックの歴史や名前の由来、パラリンピックならではの問題や障害者アスリート全般が抱えている課題など、いろんなことを知ることができました。

 

障害者とスポーツのかかわりは想像以上に深いんですね。

これからの更新もお楽しみに!

 

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