『東京オリンピックで日本のボランティア文化をつくる』【前編】

『東京オリンピックで日本のボランティア文化をつくる』【前編】

東京でオリンピックが開催されたのは1964年。

2020年東京オリンピック・パラリンピックは、56年ぶりの開催になります。

 

この世界中の人達が注目する、オリンピック・パラリンピックというイベント。

選手として参加するのはさすがに無理だけどボランティアとして参加してみようかな?と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「ボランティアって大変なんじゃない?」「初めてでも大丈夫?」「そもそもどんなことをするの?」

などなど、オリンピック・パラリンピックというイベントなだけに、いろんな疑問があるかと思います。

 

そこで今回お話を伺ったのは、日本財団ボランティアサポートセンターの沢渡一登さん。

東京オリンピック・パラリンピックのボランティアについて、アレコレお話いただきます!

日本財団ボランティアサポートセンターについて

——-日本財団ボランティアサポートセンターについて教えてください

 

2017年6月に日本財団は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下:組織委員会)とボランティアに関する連携協定を締結しました。そして、その協定に基づき設立されたのが、日本財団ボランティアサポートセンター(ボラサポ)です。

日本財団では、阪神淡路大震災やNPO法ができる前から、ボランティアの支援をしてきました。

 

スポーツの分野では、東京マラソンで1万人規模のボランティアを導入しました。

これは日本でも初めての取り組みでした。

 

そのこともあり、組織委員会から、オリンピック・パラリンピックのボランティアについて協力いただけないかとお話がありまして、連携協定を結ぶことになりました。

 

東京オリンピック・パラリンピックにむけて具体的には、研修プログラムの作成気運醸成に取り組んでいます

 

オリパラ-沢渡さん

日本財団ボランティアサポートセンター 沢渡一登さん

ボランティアは狭き門

——-研修とはどのようなものなのでしょうか?

 

研修にもいろいろと種類あるのですが、我々がいま取り組んでいるのは「共通研修」という、ボランティア全員が受講するプログラムです。

 

2018年9月26日からボランティアの募集が始まります。

オリンピック・パラリンピックのボランティアって、結構人気があるんです。

例えばロンドン大会だと7万人の募集に対し24万人の応募、平昌大会では3万人の募集に対し9万人の応募があって、選考が行われました。

ボランティアで選考ってイメージがわかないかもしれませんが、実は狭き門なんです。

 

その選考を通り抜けた方々全員が受ける研修を、ボラサポは組織委員会や東京都と一緒に作成しています。

 

そして、研修を行う講師や、ボランティアを面接する面談員も必要になりますが、その研修もボラサポが作成しています。

 

二種類のボランティア

——-ボランティアについて詳しく聞かせてください

 

オリンピック・パラリンピックのボランティアは、大きく二種類あります。

 

一つが大会ボランティア

組織委員会が設置主体となり、主に競技場や選手村、メディアセンターで、選手やメディアのサポート、観客の案内などを行います。

 

もう一つが都市ボランティア

開催自治体が設置主体になります。

例えば、東京都であれば3万人、埼玉県であれば5,400人と、それぞれ開催自治体が募集することになっています。

都市ボランティアの役割は、主に観光案内です。

ターミナル駅や観光地で、外国からいらっしゃった方や土地勘のあまりない方をご案内します。

 

あまり知られていないかもしれませんが、札幌、仙台、福島、茨城、埼玉、千葉、神奈川、静岡も会場になっていますので、東京以外でもボランティアに参加することが可能です。

 

大会ボランティアと都市ボランティアの両方を合わせて、全国で12万人のボランティアが必要になります。

 

数年かけて準備をしていく

——-研修はどれくらいの期間をかけて行うのでしょうか?

 

ボランティアの募集から本番までの流れを、「ボランティアジャーニー」といいます。

まず、2018年9月から12月にかけてボランティアの募集が行われます。

大会ボランティアでは、応募の際に、希望する活動分野を最大3つまで選択することができます。

活動分野は案内・競技・移動サポート・アテンド・運営サポート・ヘルスケア・テクノロジー・メディア・式典と9種類に分かれています。

 

募集が終わり、2019年1月から7月にかけて、説明会や面談が行われます。

そして、いよいよ10月から、共通研修が始まります。

 

人数が多いので、3~4カ月かかる見込みなんです。

 

2020年になって、役割ごとの研修、会場ごとの研修があります。ボランティアのリーダーには、リーダーシップ研修も受けていただきます。

 

そして、2020年5月になると、ユニフォームが渡されます。

6月になると、会場もオリンピック・パラリンピック仕様になってきます。

各競技場で最終の研修が行われ、いよいよ大会の本番を迎えることになります。

 

これが大会開催までの「ボランティアジャーニー」です。

大会は、2020年に開催されるのに、2年も前からボランティアの募集があることに驚かれる方も多いかもしれません。

けれど、過去の大会と比較しても、東京が特別に早いわけではありません。

 

——-今年中で募集が終わってしまうんですね。

 

そうなんです。

2020年にやりたいって思っても、いま応募しておかないとできないんですよ。

 

——-海外からの応募もあるのですか?

 

ボランティアの中には、海外からいらっしゃる方もいます。

今までの例だと、オープンにボランティアの募集をしていた大会では2割は海外からのボランティアです。

リオデジャネイロ大会やロンドン大会がそうでしたね。

 

 

ボランティアの中に格差があってはいけない

——-ボラサポでは、大会ボランティアと東京都の都市ボランティアの研修プログラムを作成しているとのことでしたが、それ以外の地域の研修プログラムも作成されているのでしょうか?

 

いいえ、基本的には大会ボランティアと、東京都の都市ボランティアの研修プログラムの作成をしています。

やはり、人数や規模が一番大きいので。

 

ただし、現在、作成している研修プログラムを、東京都以外の都市ボランティアの研修でも使っていただけるように、組織委員会にはお願いをしています。

 

なぜなら私たちは、大会ボランティアと都市ボランティアで研修の内容に差があってはいけないと考えているからです。

大会ボランティア、都市ボランティアと区別はありますが、外から見れば、同じ大会に関わるボランティアですから。

 

ボランティアへの意欲を高める

ボランティアの気運を高めていくのも、我々の重要な役割です。

「#2年後の夏」というコンセプトムービーを作成し、たくさんのイベントでながしてもらいました。

 

日本財団ボランティアサポートセンター・コンセプトムービー「#2年後の夏」

 

やっぱり、どうしてもボランティアって時間のある人しかできないんです。

大学生とか、アクティブシニアが主力になってくるとは思うんですけれど、ボラサポとしては社会人ボランティアが増えていくことが重要と思っています。

 

オリンピックやパラリンピックって、現場でトラブルや不測の事態がおこるんです。

いざというときの判断力は、やはり現役で活躍されている方がとても頼りになります。

 

ボラサポでは、社会人ボランティアを増やすために、パートナー企業と連携しています。

先日も、パートナー企業のボランティア説明会に協力させていただき、参与の二宮雅也先生に、なぜボランティア活動が企業にとって重要なのかを話していただきました。

 

企業のなかには、ボランティア休暇を導入するところも増えてきました。けれど、制度をつくれば、ボランティアをする社員が増えるとは限りません。

企業のトップがボランティアに対してきちんと意義がある感じて、社員の背中を押してくれる、そんな風土を作っていくことが大切です。

 

——-社会人も積極的にボランティアに参加するための後押しをしているんですね。

 

ボランティアをキャリアに

東京オリンピック・パラリンピックのスローガンのひとつに「多様性と調和」というものがあります。

 

先ほどお話したように、ボランティアだって2割は外国の方です。

いろんなバックグラウンド持った方や、いろんな国籍の方が「大会の成功」という共通の目標に向かってチームとして活動することがボランティアの醍醐味です。

 

これは会社の中だけでは体験できません

 

オリンピック・パラリンピックのボランティアでしか経験できないことです。

そこでの新しい人脈や経験を、今後のキャリアを活かして欲しいと思います。

 

 

後編は東京オリンピック・パラリンピックの後のために、どのようにことをされていらっしゃるのかについて、詳しくお話を伺っていきます。

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『東京オリンピックで日本のボランティア文化をつくる』【後編】

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