『自分が知らなかった世界』を人に伝える楽しさ【男性/30代/元営業マンNPO職員】

『自分が知らなかった世界』を人に伝える楽しさ【男性/30代/元営業マンNPO職員】

きふるでの寄付とは、言葉の通り「寄り添うこと」。

現金の支援だけでなく、ボランティアで時間をさく、フェアトレード商品を買うなどの社会貢献活動を総括して、「寄付」と呼んでいます。

ではボランティアをしている人って、どんな人なんでしょうか?

きふるでは、ボランティアを始めたきっかけなど、彼らのアタマの中を分解していきます。

 

今回お話を聞いたのはどんな人?

アイキャッチ-モンキーマジック水谷理さん

性別:男性

年齢:30代

職業:元営業マン、現在NPO職員

出身/在住:愛知出身、東京在住

ボランティア先:NPO法人モンキーマジック

NPO法人モンキーマジックとは、フリークライミングを通じて、視覚障害者をはじめとする人々の可能性を大きく広げることを目的に活動しているNPO法人。

そこで職員として働く水谷さんに、お話を伺っていきます。

NPO法人モンキーマジック

参考:NPO法人モンキーマジック公式ホームページ

水谷さんは2018年7月からNPO法人モンキーマジックの正職員として働き、文字起こしサービス「OKOSHI」の事業責任者をしています。

OKOSHIの特徴は、文字起こしをするタイピストがこれまで働きたくても働くことができなかったり、働く選択肢が限られた人達であること。

障害のある 方、子育て中の方、介護をしている方、はたまた旅をしながら稼ぎたい方など多種多様な人たちへ、タイピストとしての活躍の場を提供しています。

 

OKOSHIについてはこちらの記事でさらに詳しく取り上げています!

障害・育児・地域差……仕事の選択肢を広げる文字起こしサービス「OKOSHI」

アイキャッチ-OKOSHIロゴ

 

NPO職員になったのは「前向きな理由と後ろ向きな理由がある」

——–NPO職員となり、この事業に取り組もうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

 

NPO職員になるまでは、新卒から13年間、株式会社で正社員をしていました。

転職をしながらもずっと事業会社働いていました。

会社を辞めてNPO法人の職員になった理由には、前向きなものと後ろ向きなものがあります。

 

まず前提として、前職でキャリアリセットしなければならない状況に突然直面したんです。

そこでいろいろと考えましたが、このままこの会社にいるよりもこの機会を前向きに捉え、新しい環境で挑戦してみる価値はあるかなと思って、NPO職員になりました。

これが後ろ向きな理由ですね。

 

一方前向きな理由は、『本職としてちゃんとご飯を食べていけるNPO職員になれたらかっこいいよな』という思いを元々持っていたからです。

 

少し話がそれてしまいますが、わかりやすいストーリーだと

「社会との関わりや社会での存在価値を持ちたいと思いました。」「社会課題を解決したいからNPO職員になりました」というものがあります。

 

けれども、私は株式会社もNPOも変わりはないと思っています。

むしろ株式会社で働いていた方が、社会課題を解決しやすいのでは、と思っています。

 

私は前職で営業とCSR部門に関わっていたのですが、大阪や九州に出張して、自分たちのCSR活動を発信してくるだけで毎回10~20万円の経費を使っているわけですよね。

しかし今のNPO法人でそのお金を使えるかと考えると現実的ではない金額です。

そういう意味では、株式会社にいた方が社会へ影響力の大きいことができる場合もあると思います。

 

『社会に価値を示す』、という意味ではNPOよりも株式会社のほうがあるかもしれない。

そう思いつつも、『人生経験』という意味でやってみる価値はあるのではないかとNPO法人の職員になったんです。

 

仕事と活動は別と考えていた

——–株式会社で働いていたときから、会社の中で社会貢献に関わることをしていらっしゃったんですね。

 

CSRと関わり始めたのは、実は前職よりも前、前々職からです。

現職のNPO法人モンキーマジックには、7年前からプロボノとして関わっていました。

けれども、NPOに関わっているから会社でもCSR的な動きをしているわけではなくて、会社の商品を発信するためにCSR活動をしている、と完全に分けて考えていました。

CSRとは言っても結局は営業と何もかわらないんです。

 

スーツを着た営業マンがお客さんのところに行くのが一般的なイメージの営業かもしれません。

CSRも同じで活動を通じて会社の価値を高めていき、その結果として社会に価値が生まれブランドイメージも作られ、お客様の手にとっていただける。

と最終的に営業なんです。

前職は特にそういう考え方が強かったですね。

 

モンキーマジックとの出会い

代表小林との出会いは2011年、モンキーマジックが明治大学のクライミングウォールで、近隣の盲学校の生徒を対象としたキッズクライミングスクールを行っていて、知り合いに声をかけられて手伝いにいったのが初めてでした。

学生時代に山岳部に所属していたので、多少なりともクライミングに縁があったのと、家も近く、小林とも意気投合した、というのが関わる大きなきっかけでした。

モンキーマジック-水谷理さん

当時はインテリア商社で働くいち営業マンで、これを仕事に生かそうとは全く考えていませんでした

ただ単純に「飲み仲間が増えた」、程度にしか考えていなかったんです。それから正職員になるまでに、結果7年位かかりました。

 

当たり前だと思っていることは当たり前ではない

——–7年間NPOの活動に関わるなかで、ご自身の中で何か変わったことはありますか?

 

モンキーマジックに関わる以前の話でいうと、20代の後半まではいま思うと極端な考えを持っていました。

お客さんのところに行って発注書を受け取ってくるのが営業で、広報部やマーケティング部、CSR部は売上獲得とは関係ないものだと思っていました。

 

営業の調子がいいときは「他の部署は自分たちの営業部が数字を出さなければ成り立たない」とまで思っていたほどです。

けれども、モンキーマジックに関わることで、自分たちの活動を世の中に発信することの大切さを理解できました。

 

後はマイノリティーと言われる方々、障害がある方と関わっているからこそ「障害者って世の中にいて当たり前だよね」と学んだこともあります。

普段関わる機会がないから、緊張してしまったり、接し方がわからない、という方もいると思います。

 

ただ、障害があってもなくても、大なり小なりそれぞれ抱えてるものはあります

その中の1つとして表面に出やすいのが障害で、社会的な偏見や理解が及ばない、という現状なんだ、ということを理解しました。

「自分たちが当たり前だと思っていることは当たり前ではない」と気づいたのは、「営業部だけが会社を成り立たせているのではない」という気づきとも同じかもしれません。

 

新しい世界を知り、人に伝える

モンキーマジックに入って、新しいことを知ることもできました。

 

例えば、目の見えない人がどうやってパソコンを使うかご存知ですか?

「スクリーンリーダー」というソフトがあり、自分で打ったタイピングの文字を音声で読み上げてくれます。

それを使えば普通にタイピングができて、メールなどのコミュニケーションツールを使うこともできます。

 

さらにいうと、インターネットをはじめとしたテクノロジーが進歩し、障害のある人でもできることが一気に増えました。

これは健常者も一緒ですよね。

これまで手紙やりとりをしていたものが、一気にメールやLINEでやりとりができるようになって、コミュニケーションの壁が低くなりました。

 

視覚に障害のある方は、これまで新聞などは全て身近な人に読んでもらっていました。

しかし今は、すべて音声で聞くことができます。

なので目が見えない方でも、全く問題なく文字起こしができる時代になったんです。

 

ですが、それが使えるか使えないかは本人の努力次第で変わってきます。

もちろん、苦手な人がいるのも事実です。

そしてこれもまた健常者と一緒で、機械が苦手ですというのと同じなんです。

 

私自身、代表の小林に会うまでは、障害者との関わりは全くなかったんです。

それまではEメールなどは誰かが代理でやっていると思っていたし、補助者が常に周りにいて、身の回りのことをしてくれるのだろうと思っていました。

「自分が知らない世界がこんな目の前にあったんだ」と軽くカルチャーショックをうけました。

 

知らなかった世界をいろんな人に伝えるのも面白いと思っています。

 

編集後記

「自分たちが当たり前だと思っていることは当たり前ではない」と新しい世界に飛び込んでいった水谷さん。

自分が知った新しい世界を周りに伝えるため、日々奮闘されているところがいかにも元営業マンらしいなぁと感じます。

 

水谷さんが事業責任者をされている「OKOSHI」についてはこちらの記事でさらに詳しく取り上げています!

障害・育児・地域差……仕事の選択肢を広げる文字起こしサービス「OKOSHI」

OKOSHI公式ホームページはこちら

水谷 理さんTwitter(@osm_tweet)はこちら

アイキャッチ-OKOSHIロゴ

 

 

インタビューのご協力、ありがとうございました!

きふるでは、「なぜその課題に向き合おうと思ったのか」「なぜ寄付をするのか」といった支援者の想いを知ることで共感を生み、支援の輪が広がっていく考えております。

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