若者の「働き続ける」をサポートし、若者と社会をつなぐ|育て上げネット

若者の「働き続ける」をサポートし、若者と社会をつなぐ|育て上げネット

人間関係が原因で専門学校を中退したあと、2~3年間ひきこもり生活をしていたYさん。

「ずっと外に出たかった。

けれど人と関わること、働くことが怖かった

50人に1人の若者が働くことができないでいる

内閣府の子供・若者白書(平成30年版 子供・若者白書)によると、日本に働いていない若者(15~39歳)は71万人いるとされています。

15~39歳全体のうち、2.1%にあたります。

これは学校に通っていたり、家事をしている人は除いた人数。

15~39歳の若者のうち、50人に1人の割合になります。

 

また別の調査では、大学を卒業したものの就職も進学もしていない学生が、全体の6%もいたとか(2013年)。

ニートやひきこもりといった若者をめぐる問題は、いまでは珍しい話ではないのです。

 

そして、「この状況をなんとかしたい」と一番悩んでいるのは本人と家族です。

しかし、個人の努力だけでは解決するのがむずかしいのが実情。

家庭から社会に出るためには、社会からのサポートが必要になってきます。

 

このような働きたくても働くことができない、という状況は社会全体に影響を与えます。

若者と就労をめぐる問題は、個人や家族だけの問題ではないのです。

 

「一度、流されてみるのもいいか」

母親に連れてこられた職業研修トレーニング。

Yさんは「一度、流されてみるのもいいか」と、通うことを決めました。

認定NPO法人育て上げネット

今回ご紹介する団体は「認定NPO法人育て上げネット」

東京都に拠点を置くNPOで、2004年から活動しています。

 

認定NPO法人育て上げネットでは、なんらかの理由でつまづいてしまった若者とその家族を支援。

現在働くことができないでいる若者の就労支援だけでなく、小中学生、高校生向けに「働く」について考える活動も行っています。

 

事業は大きく分けてジョブトレ、母親の会結、教育事業、まなびタスの4つ。

それぞれの活動について、見ていきましょう。

 

ジョブトレ -働くためのステップアップ-

ジョブトレとは、なんらかの理由で働くことができないでいる若者に対し、働くのための基礎能力・知識をトレーニングするプログラムです。

面談を通してそれぞれの課題を見つけ、一人ひとりの悩みに対してアプローチしていきます。

 

ある調査によると、働いていない若者にはいくつかのタイプがあるそうです。

『ニートの現状とその対策 : 我が国と欧米主要国の若年雇用対策』では

「社会とのつながりが希薄で引きこもりに近いタイプ」

「学生時代に学業不振で、遊び中心に過ごし非行に走るタイプ」

「就職活動の失敗や就職後に離職を経験したことで、今後の自分の進む道に迷ってしまうタイプ」

の3つが挙げられています。

伊東雅之(2006)『ニートの現状とその対策 : 我が国と欧米主要国の若年雇用対策』調査と情報,536巻

 

個人の性格、働かなくなった理由はそれぞれ異なってきます。

ですので、個人個人の状況、性格、やる気に応じたアプローチが重要であると、言われています。

 

育て上げネットでは、キャリアカウンセラーや社会福祉士といった専門家が中心となって運営。

はじめは軽作業や農作業で外に出ること、人と接することに慣れていきます。

マナー講座、コミュニケーション講座、プログラミングなど、必要な知識やスキルを勉強し、自信をつけていきます。

そして実際の企業でインターンシップを行い、実際の職場で働くイメージを付けていきます。

 

なかには合宿といった特別プログラムもあるとか。

どれもグループ行動を基本としたものであり、個人個人にあったスピードで、就労のためのプログラムを受けることができます。

 

母親の会 結 -悩みを打ち明けられる関係を-

悩んでいるのは本人だけではありません。

家族も同じ分だけ悩んでいます。

 

「近所や親戚からの言葉がつらい」という、世間体に対する悩み。

「自分が死んでしまったら、子どもはどうやって生きていくんだろう」と将来のことに不安。

「子どもが仕事を辞めてしまったのは親のせいなのか」と、自身を責めてしまうこともあります。

 

一方で本人の社会復帰のためには、常にそばにいる家族が一番の支援者になるのも事実です。

 

実際に内閣府の子供・若者白書(平成30年版 子供・若者白書)によると「働くことの悩みを相談した相手」は、52.9%が親に相談しています。

ところが「悩みはあるが、誰にも相談したことがない」という回答も、10.8%ありました。

一番そばにいる親が、こどもの悩みを打ち明けられることができる関係性づくりが重要になってきます。

 

相談する相手

 

育て上げネットの「母親の会 結(ゆい)」では、定期相談、接し方・伝え方を学ぶワークショップ、親同士で気軽に話し合える茶話会などを行っています。

 

「息子との関わり方がわからない」

「夫と意見が合わない」

といった悩みに対し、他の母親からアドバイスをもらえることもしばしば。

 

なかなか人に話すことができない悩みも、同じ悩みを持つ人同士であれば気軽にはなすことができます。

 

教育事業 -キャリアについて考える-授業

育て上げネットでは、企業や行政と連携しながら中学校や高校での出張授業をしています。

お金と仕事をテーマにした、職業理解プログラムなど。

 

シミュレーションを通して多様なライフプランについて考える「ライフコネクション」、携帯電話を題材にして、さまざまな職業を知る「モバイルコネクション」など、学生たちのイメージしやすい方法でキャリア教育をしていきます。

 

ニート予防をめざした金銭基礎教育プログラム「MoneyConnection」では新生銀行と連携した形で2007年にスタート。

「MoneyConnection」だけでも、これまでに958校、124,412人の学生が受講しました。(2018年6月30日時点)

 

多様な生き方があることを「知らない」ことは、自身の選択肢を狭めてしまいます。

いざというときには、自分をサポートをしてくれる大人や制度があることを「知らない」ことも、自身の可能性を狭めてしまいます。

 

だからこそ、これからの世代への教育が重要になってくるのです。

これからの世代に自身のキャリアを考える機会として、育て上げネットでは教育事業を推し進めています。

 

「まなびタス」 -将来に希望を抱く-

「まなびタス」とは、生活困窮世帯の子どもへの支援。

 

東京都の立川市、杉並区、府中市で、自治体と連携し、小・中・高校生を対象とした学習スペースを運営しています。

 

2015 年 8月から2016 年7月の間だけで、329人の子どもたちと関わってきました。

始めたころは小学生だった子どもたちも、もう高校生になっているそうです。

 

目的は「意欲」を手に入れ、「希望」を持つこと。

「今日はよく来たね」「ちゃんと勉強道具を持ってきたね」と、一人ひとりを受け止め、「ちょっとやってみようかな」「頑張ってみようかな」と意欲をわかせていきます。

 

また、勉強だけでなくスポーツ、社会見学を通して、生きていく土台となる「意欲」を育みます。

 

家庭の事情で自分のやりたいことを諦めなければいけない子どもたちのために。

将来に希望を見出すことができない子どもたちのために。

「自信」と「希望」を与えていきます。

「きっとできるようになる」

はじめは何となく通っていた職業研修。

「働くこと」に不安や恐怖を感じていましたが、他のメンバーが就職を決めたり、一緒に面接練習をしていくことで、「働くこと」への不安が徐々に薄れていきました。

 

職業研修をしているうちに、 働くことが現実的になっていったのです。

 

その後Yさんはアルバイトが決定。

いまでは働き続けて3年が経ちました。

「もちろん、初めのうちはミスも多かった。

けれど、コツさえ覚えればきっとできるようになると思い、続けることができた。」

 

30歳男性Y・Hさんの言葉より

一度挫折を経験したYさんですが、トレーニングを積んで社会と接する機会を取り戻すことができました。

これはきっと、社会に出るために努力する仲間の姿を見ていたから。

そして、まるで自分のことのように、親身になってくれる人達がいたから。

 

Yさんのように悩んでいる若者のために、わたしたちができることとは何でしょうか。

わたしたちのできること

育て上げネットでは、若者支援を「社会投資」と呼んでいます。

 

これまで制度や大人たちに守られていた若者が、納税者として社会を支える側に立つことは、社会全体にとっての価値であるからです。

つまり、働くことができる人が増えることは、自分たちの社会全体を良くすることに、つながるのです。

 

「無業の若者が望む社会への参加と経済的な自立を応援、実現することは、若者が納税者として社会を支える側に立つことであり、生活者として地域を担う存在になる」

「子どもや若者を支援すること、それは自分の未来を守ること

と、代表の工藤啓(くどう けい)さんは話します。

 

一人でも多くの若者をサポートするために、自分たちの未来をより豊かなものにするために。

まずはあなたの出来る方法で応援をしませんか?

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